子供の歌 |
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子供の大工
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すずしい夏が。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 芥子が咲いた、芥子が、 白い白い芥子が。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 蝶蝶も飛べよ。 かんなくづは軽い。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 わたしは大工、 鉢巻しめて、 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 造ろよ、造ろ、 子どもの村を。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 夏が来た、夏が、 芥子が咲いた、芥子が。 杉の板、小板、 すうすと削ろ。 |
新入生
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新入生の子どもさん。 学校へ行くなら、 連れてつてあげよ。 げんげの原つぱを 近道しましよ。 小さな制帽さん。 うれしさうな子どもさん。 杏の木かげを、 連れてつてあげよ。 雨雨ふるなら、 お傘に入れよ。 小さな鞄さん。 小さなお靴さん。 お友だちになりましよ。 連れてつてあげよ。 子どもの燕も おさそひしましよ。 |
かんなくづの笛
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わたしのお笛はかんなくづ。 巻いてりやすずしいかんなくづ、 紅ばなたたいて染めましよか。 みんなのかあさん草刈りに、 わたしの父さん船大工。 父さんお船はいつできる、 兄さん海見にいつ連れる。 わたしのお笛はかんなくづ、 吹いてりや楊の絮(わた)が飛ぶ。 |
あの子のお家(うち)
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野茨が咲いたと言うてゐた。 仔馬もゐるよと言うてゐた。 あの子のお家はどこいらか。 雲雀よ。空から見ておくれ。 よしきり。よしきり。行て見よよ。 あの子のお家はどのお家。 土手から土手へとのぼつても、 つばなやよもぎの風ばかり。 あの子のお家は葦の中、 向うの向うの沼のへり。 仔馬もゐるよと言うてゐた。 |
ころころ蛙(かはづ)
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はや鳴くよ。 お池のそばまで出て見よか。 ころころ蛙が また鳴くよ。 おしめりしめりに出て見よか。 ころころ蛙は どこにゐる。 ちらちら桜のかげにゐる。 ころころ蛙が ほれ、ゐたぞ。 菱の葉めくつて、ほれ、出たぞ。 ころころ蛙の のどぶくろ、 ころころ鳴くたび膨れてる。 |
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Yamada Kousaku 山田耕筰
( 2015.10.11 藤井宏行 )