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3つのセレナーデ  


詩: 関根栄一 (Sekine Eiichi,1926-) 日本

曲: 湯山昭 (Yuyama Akira,1932-) 日本 日本語


1 桜のセレナーデ


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
桜を咲かせるそよ風が
あの人の髪をなびかせて
香り良く流れてくる
そよ風よ 私の想いを
あの人に送り届けるように
吹いてはくれないのか...

(歌詞は大意です)
2 マスカットのセレナーデ


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
夕闇に仄白く
マスカットが熟れる
やがてふくらむその房が
透けて見える

触れれば揺れる
マスカットの房よ

その青い香りをすすりたい...

(歌詞は大意です 言葉の選び方が下手でヘンタイっぽくなってしまいましたが元の詩はもっと真面目で、しかし耽美的です)
3 木犀のセレナーデ


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
夜は光のない星から来るのか
消せない想いを知らせようと
星の香りを
木犀に散りばめて
ひととき 秋がなまめく...

まばゆくあなたが過ぎて
あまりにも短すぎた 夏!

秋は来るのか
言いそびれた言葉をつぶやくために

(歌詞は大意です)

童謡の世界ではメロディーの美しさとメルヘンで屈指の作品(と少なくとも私は思っている)「あめふりくまのこ」の作曲者・湯山昭さんは、合唱曲やピアノ曲の分野でも私には子供のための作品を多数ものしている方、というイメージが強かったのですが、今回初めて福原久美さんの「花恋抄」というCDで本格的な歌曲を聴く機会に恵まれ、その素晴らしさに打ちのめされてしまいました。
(Platz)
彼女の歌の日本語の流麗さによるところも大だとは思うのですが、セレナーデという日本人にはちょっと濃すぎるスタイルの歌、一歩間違うと滑稽になってしまうところに(もちろん井上陽水の「いっそセレナーデ」のような名作もありますが)、ここでは3つの花の美しさによせて、実に細やかな恋の情感を歌っているのです。

第一曲目はやはり桜、桜を咲かせ、そして散らせるそよ風に寄せて、届かぬ想いを歌にします(「桜のセレナーデ」)。古今集の恋の歌そのままの情景といっても良いでしょう。
とはいえ、春の来た喜びを感じさせる生き生きとした明るさにも欠けてはいません。

第二曲目は花、ではなかった、マスカットです。
この曲は私には一番印象的だったのですが、それは度々繰り返される「マスカットが熟れる」というフレーズで、「やがてふくらむ その胸が」や「マスカット そのあおい香りを すすりたい」と、マスカットを憧れの女性の胸に喩えたなんともエロティックな言葉と絡み合いながら濃厚な想いを叩き付けるという感じが鮮烈なのです。(「マスカットのセレナーデ」)
曲もリヒャルト・シュトラウスの歌曲のような濃密な感じで、夏の情熱をほとばしらせます。

三曲目は木犀、秋の寂しい思い、人恋しさを訥々と語ります。
「ひかりのない星」や「消しようもない想い」「そのひとのない窓辺」「ゆきばのない心」と、「ない」という言葉を重ねながら...(「木犀のセレナーデ」)

このCDのライナーノートでの作曲者によれば、この歌曲集は声楽家竹村令さんが「日本人の情感にあうセレナーデを作ってみては...」との勧めに応じて書かれた曲とのことです。私にはそれはとてもうまく行ったように聴こえました。

( 2003.01.17 藤井宏行 )