Rakastava Op.14 |
恋する者 |
1 Missä armahani?
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1 どこに愛しの人が?
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miss’ asuvi armahani, missä istuvi iloni, kulla maalla marjaseni? Ei kuulu ääntävän ahoilla, lyövän leikkiä lehoissa, ei kuulu saloilta soitto, kukunta ei kunnahilta. Oisko armas astumassa marjani matelemassa, oma kulta kulkemassa, valkia vaeltamassa; Toisin torveni puhuisi, vaaran rinnat vastoaisi, saisi salot sanelemista, joka kumpu kukkumista, lehot leikkiä pitäisi, ahot ainaista iloa. |
どこに住んでいるのか 恋人は どこにあるのだ 喜びは どの土地に生えているのだ 私の野イチゴは? 歌声は牧場には聞こえず 遊ぶ姿も林には見えない 森からは聞こえぬ 楽の音は カッコーの声も丘からは けれどもし 愛しい人が歩けば 私の野イチゴが 私の恋する人が 輝く人がそぞろ歩くのなら 私の角笛は響きを発し 山の斜面はこだまを返す 彼方の森も言葉を発し あらゆる丘もカッコーの声に満ちる 森は戯れ 牧場にも永遠の喜びが |
2 Armahan kulku
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2 愛しい人が通る道
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täst’ on mennyt mielitietty, tästä armas astununna, valkia vaeltanunnal Täss’ on astunut aholla tuoss’ on istunut kivellä, kivi on paljo kirkkahampi, paasi toistansa parempi, kangas kahta kaunihimpi, lehto viittä lempiämpi, korpi kuutta kukkahampi, koko metsä mieluisampi, tuon on kultani kulusta, armahani astunnasta. |
ここを通って行った 私の想う人は ここが歩んだところ 私の恋する人が 輝く人がそぞろ歩いたところ ここの牧場を歩いたのだ あの石の上に腰を下し その石はひときわ輝かしかった 他のどんな石にも勝って 野原も二倍も美しく 林も五倍 素敵になった 荒野は六倍も花にあふれ 森中が一層心地よいのだ そこが私の愛しい人が通ったところ 歩いたところだ 私の恋する人が |
3 Hyvää iltaa,lintuseni
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3 こんばんは 小鳥よ
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hyvää iltaa lintuseni, hyvää iltaa nyt minun oma armahani! Tanssi,tanssi lintuseni, tanssi,tanssi kultaseni, tanssi,tanssi nyt minun oma armahani! Seiso,seiso lintuseni, seiso,seiso kultaseni, seiso,seiso nyt minun oma armahani! Anna kättä lintuseni, anna kättä kultaseni, anna kättä nyt minun oma armahani! Käsi kaulaan lintuseni, käsi kaulaan kultaseni, halausta kultaseni, halausta nyt minun oma armahani! Suuta,suuta lintuseni, suuta,suuta kultaseni, halausta lintuseni, halausta nyt minun oma armahani! Jää hyvästi lintuseni, jää hyvästi kultaseni, jää hyvästi lintuseni, jää hyvästi nyt minun oma armahani! |
こんばんは 小鳥よ こんばんは さあ 私の恋する人よ 踊って 踊って 小鳥よ 踊って 踊って 愛しい人 踊って 踊って さあ 私の恋する人よ! じっとして じっとして 小鳥よ じっとして じっとして 愛しい人 じっとして じっとして さあ 私の恋する人よ! 手を出して 小鳥よ 手を出して 愛しい人 手を出して さあ 私の恋する人よ! その手を首に 小鳥よ その手を首に 愛しい人 抱きしめて 愛しい人 抱きしめて さあ 私の恋する人よ! キスして キスして 小鳥よ キスして キスして 愛しい人 抱きしめて 小鳥よ 抱きしめて さあ 私の恋する人よ! さようなら 小鳥よ さようなら 愛しい人 さようなら 小鳥よ さようなら さあ 私の恋する人よ! |
抒情詩カンテレタルというのは、有名な叙事詩カレワラに対置される伝承文学で、日本で言えばカレワラが「古事記」で、カンテレタルが「万葉集」に当たるでしょうか。そんな中から三篇の恋の詩を選び出して、シベリウスは7分ほどのアカペラの男声合唱曲を書きました(1893 1894という説も)。伝統音楽的な雰囲気を漂わせながらも非常に斬新な曲想のその合唱は、あまりの革新性のために当時はうまく歌いこなすのが難しく、シベリウス自身によって弦楽合奏の伴奏がのちに作られます。更にこれを混声合唱に編曲しなおしたものが書かれ、最後に1911年にはこの曲の素材を元にした弦楽合奏と打楽器のための歌の付かないバージョンが生まれ、それらが皆Rakastavaというタイトルで同じ作品番号が付けられています。したがって非常に色々なスタイルが耳にできるわけですが、響きとしては地味でもやはり一番最初に書かれた男声のアカペラが一番鮮烈でしょうか。
( 2015.03.21 藤井宏行 )