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Zwei Lieder   Op.39
2つの歌

曲: ヴァーレン (Fartein Valen,1887-1952) ノルウェー ドイツ語


1 Dank'es,o Seele! (Eduard Friedrich Mörike)
1 考えよ、おお、魂よ! (メーリケ)

Ein Tännlein grünet,wo,
Wer weiß,im Walde,
Ein Rosenstrauch,wer sagt,
In welchem Garten?
Sie sind erlesen schon,
Denk' es,o Seele,
Auf deinem Grab zu wurzeln
Und zu wachsen.

Zwei schwarze Rößlein weiden
Auf der Wiese,
Sie kehren heim zur Stadt
In muntern Sprüngen.
Sie werden schrittweis gehn
Mit deiner Leiche;
Vielleicht,vielleicht noch eh'
An ihren Hufen
Das Eisen los wird,
Das ich blitzen sehe

一本のモミが生えている どこか
誰が知ろうか!森の中に
一株のバラが 誰が告げよう
どこの庭にあるのかを?
だがそれらは既に選ばれているのだ
考えても見よ おお魂よ
お前の墓に植えられ
そして生い茂るようにと

二頭の黒い子馬が草を食む
あの牧場で
それから町の厩へと帰って行く
陽気に跳ねながら
だが彼らはゆっくりと歩むことになるのだ
お前の亡骸と共に
おそらくは おそらくはまだ
彼らのひづめの
真新しい蹄鉄が
まだ輝きを見せているうちに
2 Tretet leise zu meinem Grabe (Alte Grabschrift) (Unknown)
2 静かに歩け 私の墓の前には(古い墓碑銘) (不詳)

Tretet leise zu meinem Grabe,
Wecket mich nicht wieder auf.
Wisst was ich gelitten habe
in meinem Lebenslauf.

静かに歩け 私の墓の前には
再び私を掻き乱さないでくれ
お前は知っているだろう 私が苦しんでいたのを
私が人生を送ることに

メーリケの詩の中ではヴォルフ、プフィッツナーはじめ、かなりの数の作曲家が曲を付けている名詩かと思います。ヴォルフの項で甲斐さんの丁寧な訳もありますが、たまには同じ詩を違う訳でお目にかけるのも良いかと...(いまいちピリッとしない訳ですが)

ここで紹介します作曲家ファーティン・ヴァーレンはノルウェーの前衛作曲家、アルバン・ベルクを思わせるようなほのかなロマンの香りのする12音技法の歌曲を聞かせてくれます。
生涯に残した歌曲はわずかに10数曲なのですが、その多くがゲーテやシラーなどのドイツの文豪のドイツ語のテキストに付けた曲です。
12音ですからメロディーの魅力は求めるべくもありませんが、北欧の前衛作曲家というのはいわく言いがたい不思議な雰囲気で迫ってきます。アルバン・ベルクの歌曲がお好きな方は探してみられてはいかがでしょうか。
私の聴いたのはSIMAXレーベルにあるソプラノのメランドによる北欧の現代歌曲集(PSC1033)。このCDでヴァーレンの主要な歌曲作品はすべて耳にすることができると思います。

( 2004.5.16 藤井宏行 )