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Tri Russkie Pesni  
3つのロシアの歌

詩: ロシア民謡 (narodnaja pesnja,-) 

曲: ラフマニノフ (Sergei Rachmaninov,1873-1943) ロシア ロシア語


1 Cherez rechku,rechku bystru
1 川の向こうに 流れの速い川の

Cherez rechku,rechku bystru,
Po mostochku kalina,
Po krutomu malina
Selezen’ perekhodit,
Po mostochku,kalina,perekhodit,malina!
Seru utku perevodit,
Seru utku,kalina,perevodit,malina
Sera utka ispugalas’,ispugalas’,kalina,
Uletela malina!
Selezen’ stoit,plachet!
Stoit,plachet,kalina!
Stoit,plachet,malina!

川の向こうに 流れの速い川の
橋の上に カリーナ
急な崖に マリーナ
雄ガモが行くよ
橋の上を カリーナ 渡ってくよ マリーナ!
灰色の雌ガモを連れて
灰色の雌ガモを カリーナ 連れてくよ マリーナ
灰色の雌ガモは怯えて カリーナ
飛んで行ってしまったよ マリーナ!
雄ガモは泣きながら立っている!
立っている 泣きながら カリーナ!
立っている 泣きながら マリーナ!
2 Akh,ty Van’ka,razudala golova
2 ああ あんた ワーニカ 大胆な心のひと

Akh,ty Van’ka,razudala golova,da!
Razudalaja golovushka,Van’ka tvoja!
Skol’ daleche ot”ezzhaesh’ ot menja,
Da na kogo ty pokidaesh’ milyj drug menja,
Akh ni na brata ni na druga svoego,da!
A na svekra na zlodeja,da Van’ka,moego
S kem ja ostanus’ v tu zimu zimovat’,da!
S kem ja budu temnu nochku,Van’ka,korotat’.

ああ あんた ワーニカ 大胆な心のひと!
大胆な心のひと ワーニカ あんた!
どれほど遠くまで行ってしまうの あたしから離れて
そうよ 誰のとこにあんたはあたしを残していくの いとしい人
ああ 兄弟のとこでも友だちのとこでもないわ!
あのひどい舅のとこなのね あたしのワーニカ
誰とあたしはこの冬を過ごすの そう この冬を!
誰とあたしは暗い夜を過ごすの ワーニカ 離れ離れで

3 Belilitsy rumjanitsy vy moi
3 白粉よ 頬紅よ あたしの

Belilitsy rumjanitsy vy moi,
Sokatites’ so litsa bela doloj,
Sokatites’ so litsa bela doloj,
Edet,edet moj revnivyj muzh domoj,
A! Aj ljuli,aj da,ljushen’ki,li!
Edet,edet moj revnivyj muzh domoj,
On vezet,vezet podarok dorogoj
Aj da! Aj da!
On vezet,vezet podarok dorogoj,
Pletenuju shelkovuju batozhu!
Aj ljuli! Aj ljuli da ljushen’ki li!
Pletenuju shelkovuju batozhu!
Khochet,khochet menja,molodu,pobit’
Aj ljuli! Aj ljuli!
Khochet,khochet menja,molodu,pobit’
Ja zh ne znaju i ne vedaju za chto!
O! Aj li,ljuli,ekh,ljushen’ki ljuli!
Ja zh ne znaju i ne vedaju za chto,
Za kakuju za takuju za bedu
Tol’ko bylo vsej moej to tut bedy,
U soseda,na besede ja byla,
Suprotinu kholostogo sidela,
Kholostomu stakan medu podnesla,
Kholostoj stakan medu prinimal,
Ko stakanu bely ruki prizhimal,
Pri narode sudarushkoj nazyval,
A,ty sudarushka,lebedushka moja,
Ponaravilas’ pokhodushka tvoja!
Rumjanitsy vy moi,
Sokatites’ so litsa bela doloj
Edet,edet moj revnivyj muzh domoj,
Khochet,khochet menja,molodu,pobit’,
Pravo slovo,khochet menja pobit’,
Ja zh ne znaju i ne vedaju za chto!

白粉よ 頬紅よ あたしの
顔から早く消えとくれ
顔から早く消えとくれ
帰ってくる 帰ってくるんだよ あたしの嫉妬深い夫が家に
ああ!アイ リュリ アイダ リューシェンキ リー!
帰ってくる 帰ってくるんだよ あたしの嫉妬深い夫が
持ってくる 持ってくるんだ 高価な贈り物を
アイ ダ!アイ ダ!
持ってくる 持ってくるんだ 高価な贈り物を
絹で織った鞭をね!
アイ リュリ!アイ リュリ ダ リューシェンキ リー!
絹で織った鞭をね!
ぶちたいのさ ぶちたいのさ 若いあたしを
アイ リュリ!アイ リュリ!
ぶちたいのさ ぶちたいのさ 若いあたしを
あたしには分からない 分からない どうしてなのか!
おお!アイ リ リュリ ああ リューシェンキ リュリ!
あたしには分からない 分からない どうしてなのか!
一体何のせいなのか どんな悪いことをしたのか
たったひとつ もしあたしがしたのだとすればそれは
お隣に あたしがお喋りに行った時
独身の男の向かいに座って
そいつに蜜酒のグラスを差し出したこと
そいつは蜜酒のグラスを受け取った
グラスに白い手を押し付けて
みんなの前で あたしを可愛い人って呼んだのよ
それから あなたは美しい 白鳥のようだ ぼくは
気に入ったよ あなたの歩き方が! って
頬紅よ あたしの
顔から早く消えとくれ
帰ってくる 帰ってくるんだよ あたしの嫉妬深い夫が
ぶちたいのさ ぶちたいのさ 若いあたしを
間違いないわ あたしをぶちたいのよ
あたしには分からない 分からない どうしてなのか!


1926年 ロシア革命から亡命して既に10年近くが経ったラフマニノフが、故郷への想い止み難く書いた作品。亡命してからずっと作曲をしていなかった彼の久々の作品として、ほぼ同時に書かれたピアノ協奏曲第4番作品40と一緒に、ストコフスキー指揮のフィラデルフィア管弦楽団・合唱団によって1927年の3月に初演されています(ピアノ独奏は作曲者自身)。ピアノ協奏曲の方はあまり評判は良くなかったようですが、こちらはかなり好評に迎えられたようです。
3曲とも民謡のメロディの編曲で、1曲目は男声合唱で、2曲目は女声合唱で、そして最後の曲は男女が一緒に歌う形を取っています。いずれも声はユニゾンで淡々と歌われ、そこに色彩感あふれるオーケストラが絡むというスタイル。パワフルな合唱がオーケストラと拮抗するととても印象的です。
一曲目のカリーナとマリーナというのはロシアの野山に生える野生のラズベリーの仲間。日本語ではガマズミと呼ばれるものです。ロシア民謡ではよく使われるフレーズで、日本でも良く知られた「カリンカ《はその活用形です。2曲目のワーニカはイワンの愛称です。
3曲目は壮絶ですね。この曲には独唱で歌われるバージョンもあり、ゼーダーシュトレームの歌曲全集には収録されておりました。

( 2014.11.15 藤井宏行 )