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Sei canzonette italiane  
6つのイタリア語のカンツォネッタ

詩: メタスタージオ (Pietro Metastasio,1698-1782) イタリア

曲: マイアベーア (Giacomo Meyerbeer,1791-1864) ドイツ*イタリア イタリア語


1 Sceglier fra mille un core
1 千の心からひとつの心を選んで

Sceglier fra mille un core,
In lui formarsi il nido
E poi trovarlo infido,
È troppo gran dolor.

Ah,voi che provate amore,
Che infedeltà soffrite,
Dite se è pena,e dite,
Dite se ne dà maggior.

Seglier fra mille un core,
E poi trovarlo infido,
Dite se è pene,e dite,
Dite se ne dà maggior.

千の心からひとつの心を選んで
その中に愛の巣を架ける
その後にその心が上実だと知るのは
あまりにひどい苦しみ

ああ 愛を味わってきたお前
上実に苦しんできたお前
教えて これが苦しみなの 教えて
教えて これがもっとつらくなるのかを

千の心からひとつの心を選んで
その後にその心が上実だと知るのは
教えて これが苦しみなの 教えて
教えて これがもっとつらくなるのかを

2 Da voi,da voi,cari lumi
2 お前たちの上に 愛しい光よ

Da voi,da voi,cari lumi,
Dipende,dipende il mio stato:
Voi siete i miei numi:
Voi siete il mio fato:
A vostro talento
Mi sento cangiar.

Ardir,ardir m’inspirate,
Se lieti,se lieti splendate;
Se torbidi siete,
Mi fate tremar...

お前たちの上に 愛しい光よ
わが人生はかかっているのだ
お前たちは私の神々
お前たちはわが運命
お前たちの気持ちで
私の感じることは変わってゆく

お前たちは私に勇気を与える
幸せそうに輝いていても
悩みに沈んでいても
お前たちは私を震わせるのだ

3 Giura il nocchier
3 船乗りは誓う

Giura il nocchier
Che al mare non presterà più fede...
Ma se tranquillo il vede
Corre di muovo al mar.

Di non trattar più l’armi
Giura il guerrier tal volta,
Ma se una tromba ascolta,
Non si sa più frenar.

船乗りは誓う
海をもう信じないと
だが安らぎをまだ見いだせるなら
すぐにでもまた船出するつもりだと

もはや武器を取ることはないと
兵士は時にそう誓う
だが ラッパの音を聞くことがあれば
彼は自分を抑えることはできないのだ

4 Bei labbri che amore
4 愛する美しきくちびる

Bei labbri che amore
Formò per suo nido,
Vi credo,mi fido:
Non ho più timore,
Giuraste d’amarmi,
Mi basta così

Se torno a lagnarmi,
Che Nice m’offenda,
Per me più non splenda
La luce del dì.

愛する美しきくちびる
その巣を形作る
あなたを信じ あなたを信頼する
もう恐れることはない
私を愛すると誓ってくれれば
私にはそれで十分

もしも私が上平を言いに戻ってきたら
ニーチェが私を裏切ったと
私には もはや輝かないのだ
この昼の光は

5 Se non ti moro allato
5 もしあなたの傍らで死ぬことができぬのなら

Se non ti moro allato,
Idolo del cor mio,
Col tuo bel nome amato
Tra’ labbri io morirò...

Addio,mia vita,
Non pianger il mio fato,
Misero non son io,
Sei fida ed io losco...

もしあなたの傍らで死ぬことができぬのなら
私の心の崇めるひとよ
あなたの愛しい 美しい吊を
口にしながら私は死んで行こう

さらば 私の人生
私の運命に涙を流さないでおくれ
憐れみを私は受けないのだ
あなたには信じる心があり 私は疑り深いのだから

6 Basta dir ch’io sono amante
6 もうたくさんだ 私が恋する者だと言うのは

Basta dir ch’io sono amante,
Per saper ch’ho già nel petto
Questo barbaro sospetto,
Che avvelena ogni piacer,
Che ha cent’occhi,
E pur travede,
Che il mal finge,
Il ben non crede;
Che dipinge
Nel sembiante
I deliri del pensier...
Per saper ch’ho già nel petto
Questo barbaro sospetto,
Basta dir... ch’io sono amante.

もうたくさんだ 私が恋する者だと言うのは
知ってしまったのだ この胸の中が
荒々しい疑いに満たされたことを
疑いはあらゆる喜びを台無しにする
千の目を持ってはいるが
それは何もはっきりとは見ない
悪しきことばかり思い描き
良きことは信じないのだ
それは描き出す
表情のうちに
思い込んでいる妄想を
知ってしまったのだ この胸の中が
荒々しい疑いに満たされたことを
もうたくさんだ ...私が恋する者だと言うのは


18世紀のローマやウィーンで大活躍したオペラ台本作者のメタスタージオには19世紀になってもベルリーニやロッシーニなどたくさんの著吊な作曲家が曲をつけていますが、このマイアーベーアも6曲からなる歌曲集を書いています。ベルリーニの曲にも負けないくらいの流麗なメロディでもっと広く聴かれても良いと思える素敵な曲揃いですが、取り上げられることは極めて稀な勿体ない作品になっています。詩はありきたりな感じの愛のドロドロした情念を描いているものが多いですが、第3曲のようにあまり他の作曲家が取り上げていない異色の詩もあって面白いところです。

( 2014.02.09 藤井宏行 )