Huit anecdotes de Chamfort |
シャンフォールの8つの寓話 |
1 L'Évêque d'Autun
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1 オータン大司教
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monstrueusement gros; il avait l'air créé et mis au monde pour faire voir jusqu'où peut aller la peau humaine. |
化け物みたいに巨大で まるで生み出された様だ この世で どれだけ伸びることができるかを知るために 人間の皮膚が |
2 Les coups de pieds
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2 足で蹴る
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reconnu: “J'en sais un moyen” dit l'abbé Dubois; et,dans le bal,il lui donna des coups de pied au... Le régent,qui les trouvait trop forts,passant rêveusement la main sur son derrière,”L'abbé,dit-il,tu me déguises trop”. |
知られずに:「わしはその方法を知ってますぞ《と司教の デュボワ そして舞踏会で 司教は蹴りあげる その足で彼の...を 摂政殿 それがあまりに 激しいので、その手を放心したように 後ろに回し 「司教殿 これはひどい騙しうちでござる《 |
3 Le critique
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3 批評家
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le rossignol et animé de la toute puissance des sots,écrivait: “Ah! la vilaine bête!” On le disait critique. |
ナイチンゲールの そして振り絞ったのだあらゆる力を 能無しの それで書いた「ああ 醜い生き物よ《と 人は 彼を批評家と呼んだ |
4 Le cauchemar
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4 悪夢
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grandeur plus ou moins considérable. Dans un petit compartiment se courbait un géant. Là, sous une haute arcade se pavanait un nain. Rarement la niche était faite pour la statue. Des hommes grands et petits tournaient dans la salle,guettant une niche vide pour s'y placer, quelle quelle soit: tel est l'édifice métaphysique de la société. |
大きいのやら小さいのやら色々な 小さい棚の中には巨人が身をかがめ 片やあちらの 高いアーチの下では小人が闊歩していた ほとんど彫像を収める余地は棚に作られておらず 彫像たちは老いも若きもうろつき回っている 部屋の中を 自分の収まる隙間がないかと これぞ これこそがメタフィジカルな構造なのだ この社会の |
5 Les cinq doigts
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5 五本の指
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sa bonne,regarda sa main,en compta les doigts,et,surprise,”Comment”,dit l'enfant, “Vous avez cinq doigts,comme moi?” |
お付きの女と その手をじっと見て 数えたのだ 指の数を そして驚いて 「どうして《と言った 「あなたも五本持ってるの わたくしみたいに?《 |
6 Le magistrat suisse
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6 スイスの司法官
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La pucelle de Voltaire furent interdits en Suisse. Un magistrat de Berne fit rechercher ces deux ouvrages,puis écrivit au Sénat: Nous n'avons trouvé dans le canton ni Esprit ni Pucelle. |
ヴォルテールの「聖処女《は禁じられていた スイスでは とあるベルンの司法官が探したのだが この二冊の本を 元老院にこのような信を出した 我が国においては見つけることができません 精神も そして処女も |
7 De quelques Français
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7 とあるフランス人たち
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certains Français,avec la faconde des perroquets,feraient volontiers des Ministres; Mais en fait d'inutilité,il ne faut que le nécessaire,et l'Académie y pourvoit déjà... Mais chut: l'Etranger nous écoute. Et j'aime toujours ma Patrie. |
とあるフランス人たちが 大変な饒舌さで オウムのように 喜び勇んで内閣の一員になろうとした だが実際それは無用なもの 必要ないのだ アカデミーが既にあればこそ... しかしシーッ 外国人が聞いているぞ 私は愛するのだ いつでもわが祖国を |
8 Le chanoine Récupéro
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8 レキュペロ神父
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jeune et jolie fille qui s'accusait d'avoir estimé un jeune homme. “Estimé,” dit le Père “Estimé,combien de fois?” |
若くてきれいな娘 彼女は告白したのだ 愛を捧げたことを ひとりの若者に 「捧げたとな《 と神父は言った 「捧げたのは さて一体何回かね?《 |
室内楽やピアノ曲の分野ではその軽妙洒脱な音楽のスタイルから、フランシス・プーランクの後継者とも言えるジャン・フランセですが、こと声楽作品となるとほとんど顧みられることが(少なくとも日本では)ないように思われます。
実は今回ご紹介する作品のように、こちらでもプーランクを思わせる魅力的な作品が声楽の世界でも書かれているのでした。
この8曲からなる歌曲集、お下劣なネタのある最後の曲(そしてたぶん伏字のある第2曲も)などを見ると、プーランクの快作「陽気な歌《を連想させますが、あちらよりはもう少し取り上げるテーマは幅広く、社会風刺一般を狙った作品です。「批評家《のことを取り上げた第3曲などは、同じく批評家を風刺した曲を含むショスタコーヴィチの「風刺《を彷彿とさせます。
音楽はプーランクとサティのいいとこ取りをしたようななかなかに強烈なもの。ほとんど取り上げられないのが惜しい素敵な歌曲集です。
この寓話を書いたニコラス・シャンフォールは18世紀の人(1741-1794)、フランス革命時期の人ですが人間というやつはどんな時もどこの国でも変わらない生き物なのだなあ、というのがこれらを読んでみての感想です。
( 2012.02.12 藤井宏行 )