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Deux Chansons de Miarka   Op.17
2つのミアルカの歌

詩: リシュパン (Jean Richepin,1849-1926) フランス

曲: ショーソン (Amédée-Ernest Chausson,1855-1899) フランス フランス語


1 Les morts
1 死者

Ne crois pas que les morts soient morts
Tant qu'il y aura des vivants
Les morts vivront,les morts vivront.

Lorsque le soleil s'est couché,
Tu n'as qu'à fermer tes deux yeux
Pour qu'il s'y lève,rallumé.

L'oiseau s'envole,l'oiseau s'en va;
Mais pendant qu'il plane là?haut
Son ombre reste sur la terre.

Le souffle que tu m'as fait boire
Sur tes lèvres en t'en allant
Il est en moi,il est en moi;

Un autre te l'avait donné
En s'en allant; en m'en allant,
Je le donnerai à un autre.

De bouche en bouche il a passé,
De bouche en bouche il passera,
Ainsi jamais ne se perdra.

信じないで 死者が死者であることなど
生きている者のある限り
死者は生きている 死者は生きているの

太陽が沈んでしまっても
あなたは両目を閉じればいい
それは再び昇り 輝くのだから

鳥が飛び 鳥が去っても
鳥が空にいる限り
その影は地面に映っているわ

あなたが私に飲ませてくれた吐息
あなたのくちびるから注ぎ込んでくれた
それは私の中にあるの それは私の中にあるの

だれかがそれをあなたにくれて
それが続いて それが続いて
私がそれをだれかにあげるのです

口から口へとそれは受け継がれてきたわ
口から口へとそれは受け継がれて行くでしょう
だから決して失われることはないわ

2 La pluie
2 雨

La pluie,la pluie aux doigts verts
Joue sur la peau des feuilles mortes
Son joyeux air de tambourin.

La pluie,la pluie aux pieds bleus
Danse sa danse tournoyante
Et fait des ronds dans la poussière.

La pluie,la pluie aux lèvres fraîches
Baise la terre aux lèvres sèches
Et fait craquer le corset du grain.

雨よ 雨 緑色の指をして
枯れ葉の上で演奏してる
その陽気なタンバリンの節を

雨よ 雨 青色の足をして
ぐるぐる回る踊りを踊る
そして輪を描くの 塵の中に

雨よ 雨 みずみずしいくちびるよ
乾いたくちびるの大地とくちづけし
壊してしまうの 麦のコルセットを


ショーソンの2曲からなる歌曲集作品17は、ジャン・リシュパンの小説「ミアルカ、熊に育てられた娘(Miarka,,la fille à l'ourse)《(1883)より、ミアルカの歌っているシーンの歌を抜き出して曲を付けたものです。1905年にはこの小説を原作に音楽劇が上演されているようですが、ショーソンはすでに亡くなっており、彼が曲をつけたのは1888年のこと、従って特に舞台とは関係はないようです。

晩年(といっても40代ですが)に晦渋なスタイルに近づく一歩手前の、しかしながら初期の美しいメロディにも欠けていない、しみじみと美しい傑作だと思うのですが、なぜか取り上げられることは極めて少なく、幻の歌曲になっています。Hyperionの歌曲全集にあるメゾのアン・マレーの歌か、同じく歌曲全集でTimpaniにあるものでなぜか男声で収録されているもの(ガルデイルのバリトン)の2種類しか私はその録音の存在を知りません。

第1曲目は死んだ祖母の埋葬のシーン、魂が生きている人へと受け継がれて生き続けるという思いを切々と歌った讃美歌のような音楽です。もっともミアルカは歌い終えると祖母にすがりつき泣いてしまうのですが...

第2曲目は旅の最中に雨が降るシーンで歌われるようです。
軽やかな雨の音がピアノで描写され、とても清楚で美しい曲です。もっとも小説ではこの直後に土砂降りの滝のような雨となり、歌は中断します。
一行は頭のてっぺんから足の先までずぶ濡れになってしまいました。

( 2012.01.28 藤井宏行 )