Deux poemes d'amour Op.30 |
ふたつの愛の詩 |
1 Love,my heart longs day and night
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1 恋、私の心は憧れている 昼も夜も
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for the meeting with you -- for the meeting that is like all devouring death. Sweep me away like a storm; take everything I have; break open my sleep and plunder my dreams. Rob me of my world. In that devastation,in the utter nakedness of spirit, let us become one in beauty. Alas for my vain desire! Where is this hope for union except in thee,my God? |
お前と会うことを--会うこと それはすべてを喰い尽す死のようなものだ 私を吹き飛ばすが良い 嵐のように 私の持つすべてのものを奪い去れ 私の眠りを打ち砕き 私の夢をむしり取れ 私をこの世界から連れ去るのだ その荒廃の中、魂を完全に剥き出しにして 私たちは美の中でひとつになるのだ ああ 私の空しき願いよ! どこにこの合一の希望があるというのか 御身をおいて他に わが神よ? |
2 Peace,my heart
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2 静まるのだ わが心よ
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let the time for the parting be sweet. Let it not be a death but completeness. Let love melt into memory and pain into songs. Let the flight through the sky end in the folding of the wings over the nest. Let the last touch of your hands be gentle like the flower of the night. Stand still,O Beautiful End, for a moment, and say your last words in silence. I bow to you and hold up my lamp to light you on your way. |
別れの時を甘美なものとしよう それを死とするのでなく 完全なものとするのだ 愛を思い出の中に溶かし込み そして痛みは歌の中へと 飛翔は空の果てまで 翼を巣の上で広げて お前の手の最後の感触は穏やかなものとしよう 夜の花のように 静かに立っておれ おお美しい終わりよ ほんの一瞬の間だけでも そして言ってくれ お前の最後の言葉を 沈黙の中で 私はお前に頭を下げて そしてランプを高く掲げよう お前の行く道を照らすために |
ダリウス・ミヨーにもタゴールの詩による歌曲があります。一番興味深いのはアンドレ・ジッドが訳したタゴール詩集「ギタンジャリ《の中の詩につけたものですが、これはまだジッドの著作権が切れておりませんので見送って、なんと英語の詩につけている2曲の「愛の詩《を取り上げることにします。こちらは多くの欧米の作曲家たちが競って取り上げている詩集「園丁《から。第1曲は50番目の詩であまり他に曲をつけた人は多くないようです。第2曲は61番目の詩で、ドイツ語訳はツェムリンスキーが「抒情交響曲《の最終楽章に取り上げているものがありますので見覚えのある方もいらっしゃるでしょうか。
音楽は英語で歌われていることもあって、古き良き時代のアメリカの歌曲といった印象。流れるような第1曲、しみじみとつぶやきかける第2曲、いずれも印象的です。
( 2011.12.17 藤井宏行 )