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Trois Poèmes d'Amour  
三つの恋の詩

詩: サティ (Alfred Erik Leslie Satie,1866-1925) フランス

曲: サティ (Alfred Erik Leslie Satie,1866-1925) フランス フランス語


1 Ne suis que grain de sable
1 ぼくは砂の粒でしかないけれど

Ne suis que grain de sable,
Toujours frais et t'aimable,
Qui boit,qui rit,qui chante
Pour plaire à son amante.
Tout doux,ma chère belle
Aimez votre amant frêle;
Il n'est que grain de sable,
Toujours frais et t'aimable.

ぼくは砂の粒でしかないけれど
いつでも爽やかで 君に親切なのさ
飲んだり、笑ったり、歌ったりする人は
恋する人を楽しませようとするもの
とても優しく、ぼくの美しい人よ
君の弱弱しい恋人を愛してはくれないか
ぼくは砂の粒でしかないけれど
いつでも爽やかで 君に親切なのさ

2 Suis chauve de naissance
2 ぼくはハゲなんだ 生まれつき

Suis chauve de naissance,
Par pure bienséance
Je n'ai plus confiance
En ma jeune vaillance.
Pourquoi cette arrogance.
De la si belle Hortence?
Très chauve de naissance,
Le suis par bienséance.

ぼくはハゲなんだ 生まれつき
全くの謙虚さゆえに
ぼくはもはや信じていない
自分の若かりし頃の大胆さなんて
なのにどうしてそんなに傲慢なのか
あの美しいオルタンスは?
とってもハゲなんだ 生まれつき
だから全く謙虚なんだ

3 Ta parure est secrète
3 お前の衣装は秘めやかだ

Ta parure est secrète,
Ô douce luronnette.
Ma belle guillerette
Fume la cigarette
Ferai-je sa conquête,
Que je voudrais complète?
Ta parure est secrète,
Ô douce luronnette.

お前の衣装は秘めやかだ
おお 愛しのお転婆ちゃんよ
ぼくのきれいな気取り屋ちゃんが
タバコをふかしてる
彼女の愛を勝ち取れるだろうか
ぼくの望む通り 完璧に?
お前の衣装は秘めやかだ
おお 愛しのお転婆ちゃんよ


サティは自作のピアノ曲には様々な詩を書き込んでおり、日本でも「サティ詩集《なんて本が出版されているくらいですが、自作の詩で歌を作っているのはこの3曲からなる「3つの恋の詩《だけのようです。ご覧の通りほのかなユーモアを漂わせながらシュールな詩。しかも控え目に愛を語っているところがなかなかに彼らしいです。付けられた音楽も楚々として目立たず、サティ歌曲集などをまとめて聴いていてもいつの間にか通り過ぎてしまっていることがしばしば(3曲合わせても5分もかからない短い音楽ということもありますが)。
各曲にタイトルはついていないようですが、ここでは国内の多くのサティ歌曲集CDのインデックスに合わせて各曲の最初の1行をタイトルに持ってきました。Emily Ezustのliedのページでは英語の長いタイトルがいずれの曲にもついていて面白いのですが、これがオリジナルなのかどうかは確認できておりません。ただせっかくですのでそれを訳したものは下に記しておきます。なにより面白いですし詩を解釈するときに参考になりますので。

1.詩人は恋する人に慎重な告白をしようとする。彼自身の魅惑の言葉による蒼ざめた告白を、彼女は聞く、冷たく、軽蔑するように.

2.詩人はここで自らのすべての愛情を表現する、すべての情熱を。彼は自分の才能に上安を持っており、絶大な苦悩を見せる.

3.詩人は、眩暈と共に打ちのめされ、恋に狂っているようである。彼のハートは脈打ち、彼の瞼は木の葉のように震えている

( 2009.08.25 藤井宏行 )