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Deux romances   L 79
2つのロマンス

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス フランス語


1 Romance (Paul Bourget)
1 ロマンス (ブールジェ)

 L'âme évaporée et souffrante,
 L'âme douce,l'âme odorante
 Des lis divins que j'ai cueillis
 Dans le jardin de ta pensée,
 Où donc les vents l'ont-ils chassée,
 Cette âme adorable des lis?

 N'est-il plus un parfum qui reste
 De la suavité céleste
 Des jours ou tu m'enveloppais
 D'une vapeur surnaturelle,
 Faite d'espoir,d'amour fidèle,
 De béatitude et de paix?

  移り気で 悩める魂
  やさしい魂 かぐわしい魂
  神聖なユリの香りがする魂 それは私が摘み取ったのだ
  あなたの心の庭から
  一体風はどこへ運ぼうというのだろう
  このユリの花の すばらしい魂を?

  もうそんな香りさえ残っていないというのか
  天上の喜びの中には
  あなたが私を包んでくれたあの日々の喜びを
  自然を超えたこの靄によって
  希望と 誠実な愛と
  至福と 平和で作られたこの靄によって?

2 Les cloches (Paul Bourget)
2 鐘 (ブールジェ)

 Les feuilles s'ouvraient sur le bord des branches,
    délicatement.
 Les cloches tintaient,légères et franches,
    dans le ciel clément.

 Rhythmique et fervent comme une antienne,
    ce lointain appel
 me remémorait la blancheur chrétienne
    des fleurs de l'autel.

 Ce cloches parlaient d'heureuses années,
    et,dans le grand bois,
 semblaient reverdir les feuilles fanées,
    des jours d'autrefois.

 木の葉たちは枝に広がっていた
    繊細に
 鐘たちは鳴り響いていた 軽やかにくっきりと
    穏やかな空の下で

 リズミカルに熱狂的に まるで祈りの文句のように
    この遠くへの呼び声は
 私に思い出させた クリスチャンたちの清らかさを
    祭壇の花たちのような清らかさを

 鐘たちは幸せな未来のことを語っていた
    そして大きな森の中では
 しおれた木の葉が 再び緑になって行くようであった
    かつての日々の葉たちが


これら2曲は彼がローマ大賞を得てイタリアに留学していたころに書かれた作品だといいます。初期の甘いとろけるようなメロディはこのあたりから影をひそめ、しっとりと落ち着いた雰囲気が強まってきますが、それがこれらの詩によく合っているように私には思えます。過渡期の作品という風に聴こえないこともないですが、音楽は十分に魅力的で彼の個性があふれています。

( 2007.11.17 藤井宏行 )