Las horas de una estancia Op.11 |
ある農園での一日 |
1 El alba
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1 日の出
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遠くにぽつんと浮かんだ孤島のように見える 散らばった染みは アマポーラの花たちの 千切れた雲が地上に残ったようだった 幸せな歌で 私の空に パティオと貯水槽に私は感謝する この夜明けの光の中 バラの茂みも伸びる まるで枝がないかのように さらにスイカズラは登ってゆく あずまやの上まで そしてゆっくりと その編み込みの揺り椅子の上で 目覚めるのは優しげな女 私は金色の輝きだ ブラインドでの陰で待っている 私は想いに耽る 田舎娘たちを見ることもなく 優しい挨拶をしてくれている 目を眩ませながら 見えない行列に 手を挙げて目を伏せ 牝牛たちを探して刈られた野に向かっている (詞は大意です) |
2 La mañana
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2 朝
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車輪が巻き上げた 馬たちは怯えてはいない テラコッタではひとりの女がため息つき そして穏やかな両手のひらを伸ばしている ここではバラが最もバラらしく そして最も甘くて長い午後が 沈黙の形が最もよく聞こえる カササギの知恵に満ちた歌 そして牛の神聖なイメージ そして木とその影 私が尊敬する (詞は大意です) |
3 El mediodía
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3 正午
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またなおざりにはしない 鳥類学も 植物学の膨大な種別も 私は眠らせる 虫だらけの羊を 黒い糸を片方の耳に結んで 私にはたくさんある 忠実な単調さが ゆっくりと時は過ぎる 控えめな対話で かごの中の果物 影の中の感傷的な声 そして私を驚かせる感傷で 黒いモクマオウと敷居は この戸口の 私を恐れさせる シエスタの儀式の始まりは 静かに私を待っている 愛と雄弁のうちに (詞は大意です) |
4 La Tarde
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4 午後
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馬車と秋と さびた色の木の葉といくつかのリボン 飛び去って行く 風と一緒に 閉じこもって部屋の中に残るだろう 太陽のように 青いフィールドのように パラソルの 牛の悲しげな鳴き声のように シエスタの時間 髪を梳いて 動きのない闇の中 一輪のバラは夜の白さ そして震えながら 過去を夢見るのだ 彼女を燃え立たせる 閉ざされた部屋の中 聞えて来る 遠くの音楽の唸りが 遥か遠くの未知の記憶の 妊婦とそして一月は 私のものなのだ そしてハエども 骨 それから腐って衰えた花 アリが巣に運んで行くような (詞は大意です) |
5 La noche
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5 夜
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そして夜露 ディアメラを求める 私の時には コウモリの羽が飛ぶ 髪が震える ゆっくりとアジサイが回復する 私の夜は浜辺がない 大海原のように 部屋に入る 眠っている小作人の 彼に夢を諦めさせ 放心させ あるいはしつこく静かな環境の中で 彼の腕の姿勢を変えるのだ 私の夜は邪魔されることはない 列車にも多くの家にも 私の夜は無限に衰える 静かな鳩の羽とともに ゆっくりとラグーンに近づいて行く そして泥の底に月たちを置いて行く (詞は大意です) |
農場(エスタンシア)を舞台にした1日のうつろい。詩が難解でよく情景をとらえきれなかったところもありますが、不思議な雰囲気を漂わせています。音楽の方もいつもの歯切れの良いヒナステラ節は炸裂せず、幻想的なメロディが終始流れて行きます。
( 2021.05.22 藤井宏行 )