Shylock Op.57 |
劇音楽 シャイロック |
Chanson
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シャンソン
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C'est l'heure d'oublier l'orgueil et les vertus, Et nous regarderons éclore dans le mousses, La fleur des baisers défendus. Les baisers défendus c'est Dieu qui les ordonne Oh! les filles! Il fait le printemps pour les nids, Il fait votre beauté pour qu'elle nous soit bonne, Nos désirs pour qu'ils soient unis. Oh! filles! Hors l'amour rien n'est bon sur la terre, Et depuis les soirs d'or jusqu'aux matin rosés Les morts ne sont jaloux,dans leur paix solitaire, Que du murmure des baisers! |
誇りと美徳を忘れる時がやってきた そして眺めるのだ、苔の中で 禁じられたキスの花を 禁じられたキス、それは神様の命じられること! おお、娘たちよ!主は春を巣作りのために創造され 主はきみたちの美しさをぼくらの楽しみのため創造された それにぼくらがひとつに結ばれるためにぼくらの欲望を作られたのだ おお、娘たちよ!愛のほかには、この地上には何も良いものはない 金色に輝く夕べからバラ色の夜明けまで 死者たちが羨んでいる、その孤独な平安の中で キスのささやきのことを |
Madrigal
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マドリガル
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Plus que Flore et plus que Pomone, Et je sais pour l'avoir chanté Que sa bouche est le soir d'automne, Et son regard la nuit d'été. Pour marraine elle eut Astarté, Pour patronne elle a la madone Car elle est belle autant que bonne Celle que j'aime! Elle écoute,rit,et pardonne, N'écoutant que par charité: Elle écoute mais sa fierté N'écoute,ni moi ni personne Et rien encore n'a tenté Celle que j'aime! |
フローラよりもポモナよりもずっと ぼくは知っている、そう歌うために あの人の口は秋の夕暮れ あの人の瞳は夏の宵 あの人の代母はアスタルテで 守護神はマリア様なんだ だって彼女は優しく、美しいのだから ぼくの好きなあの人は! あの人は聴き、笑い、許してくれる いつも思いやりをもって聴いてくれる あの人は聴いてくれる、でも誇り高いから 聴き入れてはくれない、ぼくのことも誰のことも そして何物にも彼女は心惹かれない ぼくの好きなあの人は! |
フォーレにはいくつか舞台のための劇音楽の作品があります。そんな中でシェイクスピアの「ヴェニスの商人《を下敷きに詩人&劇作家のアロクールによって書かれた作品「シャイロック《には2曲の大変印象的な劇中歌が書かれていますので今回はそれを取り上げてみることにしました。ヴェニスの商人とはいいながらここで歌になっているのは恋する思い。大変ロマンティックな歌です。
もっとも「シャンソン《の方は単なるナンパの歌とも読めなくもありませんですが...
他方「マドリガル《に出てくるのでは、フローラというのは花の女神、ポモナは果樹を司る女神で、いずれもローマの神話からきているようです。アスタルテというのは豊穣を司る女神で、ここでいう代母というのはキリスト教の洗礼式に立会い、神に対する契約の証人となる女性のことを言うようです。ここで歌われ、讃えられているのはけっこう貫禄ある女性みたいですね。
ホルツマイヤーの入れたフランス歌曲集(Philips)の冒頭を飾っていたり、EMIの歌曲全集ではスゼーによる見事な歌も聴けますけれども、劇音楽の形で再現されているミシェル・プラッソン指揮トゥールーズ管弦楽団にニコライ・ゲッダのテナーによるもの(EMI)がやはり興味深いです。この録音、管弦楽の伴奏はちょっとしまりがなくて詩情に欠ける印象もしますけれども、情熱的なゲッダの歌はなかなかよいです。この「シャイロック《、舞台の形でどんな筋書きなのかは調べられませんでしたけれどもちょっと興味を惹かれるところではあります。
( 2007.05.05 藤井宏行 )