二つのロンデル |
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雨と風
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さくら横ちょう
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2曲目の「さくら横ちょう《はほぼ同年の1950年に中田喜直が作曲していて、こちらの方がずっと有吊ですが、この別宮作品も研ぎ澄まされたメロディラインがとても印象的な曲です。邦楽の語りを思わせるような情緒が面白く、中田作品ほどではありませんがしばしば耳にすることができます。
もう1曲の「雨と風《は2曲目ほどの魅力は感じられませんでしたが、雨の中の困窮を繰り返される「雨が降ってる 戸をたたく 風もどうやら出たらしい《の繰り返しでしみじみと描き出しています。そんなに悲惨な音楽でないのが救いですが、「食べるものさへ見当たらない《と詩の方はかなり追い詰められている感じです。いずれも西洋詩の様式「ソネット《で書かれています。
( 2019.01.07 藤井宏行 )