TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Queen Mary's Song    
 
メアリー女王の歌  
    

詩: テニスン (Lord Alfred Tennyson,1809-1892) イギリス
    Queen Mary  Hapless doom of woman

曲: エルガー (Edward Elgar,1857-1934) イギリス   歌詞言語: 英語


Hapless doom of woman happy in betrothing,
Beauty passes like a breath and love is lost in loathing :
Low! my lute :
Speak low,speak low,my lute,but say the world is nothing.
Low! lute,low !

Love will hover round the flowers when they first awaken ;
Love will fly the fallen leaf,and not be overtaken ;
Low,my lute !
O low,O low,my lute! we fade and are forsaken.
Low,dear lute,low !

幸せな婚約をした女の不幸な運命
美貌はつむじ風のように色褪せ、愛は憎しみの中で失われた
静かに、わがリュートよ、
静かに語れ、静かに語れ、わがリュートよ、でもこの世が空しいことを語れ
静かに、リュートよ、静かに

愛は花たちの間を漂っていた 咲き始めた時には、
愛は落ち葉を散らし、二度と帰らない
静かに、わがリュートよ、
おお静かに、静かにわがリュートよ 私達は老い、それが運命
静かに、リュートよ、静かに


もうちょっと威風堂々みたいなカッコイイ歌曲もあるのかも知れませんが(アーンの「ルール・ブリタニア」のようなやつが。そういえば「威風堂々第1番」の中間部にも歌詞がついていましたっけ)、格調高いということではこの曲も捨て難い魅力です。
パーセルあたりの雰囲気を模した気品ある悲しみを実によく出しているのみならず、近代イギリス音楽の味わいも和声や旋律に色濃く出しているのが私にとっては大変好ましいところです。
ひたすら高貴な悲しみをリュートとともに語る前半部が、「静かに」のところでほのかに明るく転調して盛上がり、そしてまた悲しく消え入っていく。実に魅力的です。
エルガーの歌曲集は探せば結構ありそうですが、私が聴いたのはラクソン(Bar)が歌っているChandos盤、彼の歌うイギリス歌曲は私の知る限りどれも外れがないので安心して聴くことができます。
後半にディーリアスの歌曲がたくさん収録されているのもこのアルバムの価値を高めています。いずれディーリアスのもここでご紹介したいのですが、古語を訳すのは大変なもので...)

詞はテニスンの戯曲「Queen Mary(メアリー女王)」(1875)の第5幕 第2場より取られているようです。1897年に舞台で初めて歌われたようです。

( 1999.10.10 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ