Present de couleur blanche Op.15-5 Sept Chansons de Clément Marot |
白い色のプレゼント クレマン・マロの7つのシャンソン |
Present,present de couleur de Colombe, Va où mon Cueur s'est le plus adonné! Va doulcement,& doulcement y tombe! Mais au parler ne te monstre estonné! Dy que tu es pour Foy bien ordonné! Dy oultreplus (car je te l'abandonne) Que le Seigneur à qui tu es donné N'a foy semblable à celle qui te donne. |
プレゼント プレゼントよ 鳩の色をした 届け 私の心を捧げし人のもとに 届け やさしく やさしく降り立て だけど話しかけても あなたは驚かないで 告げて あなたには素敵な愛が運命づけられていると! 告げて もっと(私はあなたを諦めたのだから) あの男 −あなたの愛を得た− は 愛していないのだから あなたを与える彼女の愛ほどには |
世界の文化の中心フランスには(とフランス人は思っているのかなあ?)、結構世界中から留学にくる人が多いですよね。あのブラジル魂の伝道者ヴィラ?ロボスでさえ初期の作品はかなりおフランスしてますし、チェコの奇才マルティヌーもあの独自な個性をフランス風のスタイルに絡ませた面白い作品を量産しています。そしてこのルーマニアの天才エネスコも、若い頃にはマスネやフォーレに師事していたのだそうで、ここに紹介する曲もフランス語のテキストに付けられたものです(1908作曲)。従ってルーマニアのエスニックな雰囲気は微塵もありません。
がしかし、この曲は忘れがたい美しさを湛えた傑作だと私は思います。
詩は16世紀の詩人マロのものですので、彼はこれに思い切り擬古典的な雰囲気のメロディーを付けました。フォーレの作品などではよくあるスタイルですけれども、これにマスネの大衆的路線とドビュッシーの透明感を加えたらこうなるだろうという感じの曲です。
(厚化粧したダウランドという趣もあるが...)
サラ・ウォーカーの歌うUnicorn盤で7曲全部聴けます(何故かアルバムのタイトルは「ロマンチック・フレンチ・ソングス」です)。
彼女の癖のないメゾソプラノでなかなか良い味を出しています。他に出ているかどうかは分かりません。
( 1999.06.27 藤井宏行 )