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Waldmädchen    
  Gedichite von Eichendorff für eine Singstime und Klavier
森の娘  
     アイヒェンドルフ歌曲集

詩: アイヒェンドルフ (Josef Karl Benedikt von Eichendorff,1788-1857) ドイツ
    Gedichte - 7. Romanzen  Waldmädchen

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Bin ein Feuer hell,das lodert
von dem grünen Felsenkranz,
Seewind ist mein Buhl' und fordert
mich zum lust'gen Wirbeltanz,
kommt und wechselt unbeständig,
steigend wild,
neigend mild,
meine schlanken Lohen wend' ich:
komm nicht nah' mir,ich verbrenn' dich!

Wo die wilden Bäche rauschen
und die hohen Palmen stehn,
wenn die Jäger heimlich lauschen,
viele Rehe einsam gehn.
Bin ein Reh,flieg' durch die Trümmer,
über die Höh',
wo im Schnee
still die letzten Gipfel schimmern,
folg' mir nicht,erjagst mich nimmer!

Bin ein Vöglein in den Lüften,
schwing' mich übers blaue Meer,
durch die Wolken von den Klüften
fliegt kein Pfeil mehr bis hieher,
Und die Au'n,die Felsenbogen,
Waldeseinsamkeit
weit,wie weit,
sind versunken in die Wogen -
ach,ich habe mich verflogen!

わたしは炎
緑なす岩の輪から燃え上がるの
海の風はわたしの恋人
わたしを楽しい輪舞に誘う
吹きつけ、気まぐれに風向きを変え
激しく高まり
穏やかに鎮まり
わたしのほっそりした炎はゆらめく:
近寄らないで、火傷するわよ!

急流がざわめき
高い棕櫚が茂るところ
猟師が息を殺して伺い
ノロ鹿たちが静かに歩む
わたしはノロ鹿、石くれの間を跳ね
丘を越え
雪を踏み
残雪の輝く峰にたどりついてじっとする
追ってもむだよ、捕まりはしないわ!

わたしは空を飛ぶ小鳥
青い海の上高く漂う
谷間から雲をつき抜ける矢も
この高さには届かない
緑の沃野も岩のアーチも
寂しい森も
遠く、なんて遠く
大波の下に沈んでいった・・・
ああ、わたしは迷ってしまった!


ノロ鹿(ノロ):ヨーロッパから中国にかけて生息する小型の鹿の一種で古来食用とされる。


「海の男の別れ」と同じく小説『航海』の挿入詩で、主人公のスペインの学生アントーニオが上陸した孤島で出会った謎の娘アルマが踊りながら歌います。アイヒェンドルフの小説の常で、アルマも大変美しい娘ということになっています。
 ヴォルフの曲は、炎のゆらめき、急流のせせらぎ、ノロ鹿の疾走、小鳥の羽ばたきを描写するかのようなピアノ伴奏に乗った軽快なもの。1880年ヴォルフ20歳の時の作品で、1897年にこの曲集が改訂出版された際、ヴォルフ自身の手によって省かれています。
録音は少ないようで、エルナ・ベルガーの戦中の録音の他にはLPでジュディス・ブレゲン(米RCA)、CDでベルナルタ・フィンク(英ハイペリオン)が手元にあるだけです。アイヒェンドルフ歌曲集中のもう一曲の女声曲「ジプシーの娘」はシュヴァルツコップの愛唱曲でしたが、「森の娘」に往年の名歌手ベルガーの録音があるのは幸いなことです。

( 2005.11.04 甲斐貴也 )


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