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Batto,qui pianse Ergasto    
  Madrigali,libro sei
打ちのめされた とエルガストは泣きながら  
     マドリガーレ集第6巻

詩: マリーノ (Giambattista Marino,1569-1625) イタリア
      

曲: モンテヴェルディ (Claudio Monteverdi,1567-1643) イタリア   歌詞言語: イタリア語


»Batto«,qui pianse Ergasto,»ecco la riva
ove,mentre seguia cerva fugace,
fuggendo Clori il suo pastor seguace,
non so se più seguiva o se fuggiva«.

»Deh,mira!« -- egli dicea -- »se fuggitiva
fera pur saettar tanto ti piace,
saetta questo cor che soffre in pace
le piaghe,anzi ti segue e non le schiva.

Lasso,non m'odi?«. E qui tremante e fioco
e tacque e giacque. A questi ultimi accenti
l'empia si volse e rimirollo un poco.

Allor di nove Amor fiamme cocenti
l'accese. Or chi dirà che non sia foco
l'umor che cade da duo lumi ardenti?

「打ちのめされた」とエルガストは泣きながら「ここの岸辺で
一頭の牝鹿を追いかけながら
クローリは逃げだのだ 彼女を追う羊飼いから
もう何だか分からない 彼女は追いかけたのか 逃げたのか」

「頼む 見てくれ!」 - 彼は言った - 「もし逃げる獲物に
矢を射るのがそんなに好きなら
射てくれ この心に 安らかに苦しもう
その傷口に そればかりでなくお前のあとをためらわず追おう

どうか 聞いてはくれないのか?」 そして震えながら弱って行き
彼は沈黙してその身を横たえた その最後の言葉に
つれない娘は振り向き 彼をちらっと見た

このとき 新しいアモールの炎が
彼女に燃え上がった だが誰が言えるのだろう この炎は
二つの熱い瞳からこぼれているのではないと?


( 2018.01.31 藤井宏行 )


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