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Spring the sweet Spring    
  Four Old English Lyrics
春、素敵な春  
     4つの古いイギリスの詩

詩: ナッシュ (Thomas Nashe,1567-1601) イングランド
    Summer's Last Will and Testament  

曲: ディーリアス (Frederick Theodore Albert Delius,1862-1934) イギリス   歌詞言語: 英語


Spring,the sweet spring,is the year's pleasant king;
Then blooms each thing,then maids dance in a ring,
Cold doth not sting,the pretty birds do sing,
 Cuckoo,jug-jug,pu-we,to-witta-woo!

The palm and may make country houses gay,
Lambs frisk and play,the shepherds pipe all day,
And we hear aye birds tune this merry lay,
 Cuckoo,jug-jug,pu-we,to-witta-woo!

The fields breathe sweet,the daisies kiss our feet,
Young lovers meet,old wives a-sunning sit,
In every street these tunes our ears do greet,
 Cuckoo,jug-jug,pu-we,to-witta-woo!

春、素敵な春、四季の中の王
すべてのものを花開かせ、乙女は輪になって踊る
寒さがやわらぎ、鳥は歌う
カッコー、ジュグジュグ、プーエー、トゥイーターウー

シュロやサンザシは村の家々を陽気にする
ヒツジたちは跳ね回り遊び、羊飼いは日がな笛を吹く
そして鳥たちが明るい陽射しの中で歌うのが聞こえる
カッコー、ジュグジュグ、プーエー、トゥイーターウー

野原は優しく息づき、デイジーは足元にキスをする
若い恋人達は出会い、おばあさんたちは日向ぼっこだ
あちらこちらでこんなあいさつの歌声が聞こえる
カッコー、ジュグジュグ、プーエー、トゥイーターウー


雰囲気が実にディーリアスらしい曲なのですが、あまり有名でないのか、私の手元にあるディーリアス歌曲集の中で聴けるのはLuxson(Br)盤(Chandos)だけです。詩は著名で、岩波文庫の英詩選にも入っているのですけれど。
弾むようなシンプルな歌の旋律線に、鳥の鳴き声を模したピアノ伴奏が対旋律としてまとわり付きます。その対位法の絶妙さがこの曲の魅力です。
「4つの古いイギリスの詩」という曲集の1曲なので、民謡のような素朴さと鄙びた味わいが、イギリスの田舎の春の情景を実に見事に表しています (日本のメロディで喩えれば千昌夫の「北国の春」?)。この詩はシェイクスピアとほぼ同時代に活躍した劇作家なのだそうで、この詩も「Summer's last Will and Testament」 (サマーの最後の意志と遺言)という劇中歌なのだそうです。クックーと啼くのはもちろんカッコウ、ジュグジュグはナイチンゲールでしょうか。あとの鳥の声ははよく分かりません

( 2000.03.29 藤井宏行 )


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