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Schlusslied des Narren   Op.127-5  
  Fünf Lieder und Gesänge
道化の終幕の歌  
     5つのリートと歌

詩: シュレーゲル,アウグスト・ヴィルヘルム (August Wilhelm von Schlegel,1767-1845) ドイツ
      The rain it raineth every day 原詩: William Shakespeare シェイクスピア,Twelfth Night (十二夜)

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Und als ich ein winzig Bübchen war,
Hop heisa,bei Regen und Wind!
Da machten zweie nun eben ein Paar;
Denn der Regen,der regnet jeglichen Tag.

Und als ich,ach! ein Weib tat frein,
Hop heisa,bei Regen und Wind!
Da wollte mir Müssiggehn nicht gedeihn;
Denn der Regen,der regnet jeglichen Tag.

Die Welt steht schon eine hübsche Weil',
Hop heisa,bei Regen und Wind!
Doch das Stück ist nun aus,und ich wünsch' euch viel Heil,
Und dass es euch künftig gefalle!

そしておいらがちっちゃなガキだったころ、
ホップ・ハイサ、風やら雨あられ!
二人は一組になったもんだ、
なぜって雨が毎日降るからさ。

そしておいらが、嗚呼、女房を娶ったら、
ホップ・ハイサ、風やら雨あられ!
のらくら暮らしはお預けだ、
なぜって雨が毎日降るからさ。

この世が出来てもうかなりのもんだ、
ホップ・ハイサ、風やら雨あられ!
でも芝居はこれまで、皆様に幸あらんことを、
そしていつかこの芝居が皆様のお気に召しますように!


シェイクスピアの「十二夜」の一番最後に道化フェステによって歌われる歌のA.W.シュレーゲル(August Wilhelm Schlegel : 1767-1845)による独訳に作曲された(多少語句の変更はある)。作品番号は随分後ろだが、「歌の年」1840年の作曲で、シューマンがシェイクスピアの詩に作曲した唯一の作品である。掛け声の”hey,ho”がドイツ語では”Hop heisa”になっているのが面白い(ちなみにシベリウスのスウェーデン語による曲Op. 60-2では”Hållilå”(ホッリロ)となっている)。シュレーゲルの本来の訳ではオリジナル通り全5節が訳されているが、シューマンは第2、4節を省いている。曲は第3節最後の2行以外は同じメロディーが繰り返される変形有節歌曲である。前打音付きのピアノに導かれる各節最初のメロディーこそおどけた印象を与えるが、4行目のリフレインは重々しく、もっともらしく真理を説いているかのような効果が出ている。

レマルーJonathan Lemalu(BR)&ジョンソンGraham Johnson(P):Hyperion:2002年11〜12月:F=ディースカウでさえシューマン歌曲全集でも録音しなかった珍しい作品だが、ハイペリオン・シューマン歌曲全集の第8巻として聴くことが出来るのがうれしい。ニュージーランド出身のこのバリトンは、テーオ・アーダムを思わせる人のよさそうな声を持っていて道化役になかなか合っていた。ジョンソンも周到な演奏。

( 2005.07.18 フランツ・ペーター )


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