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Der Musikant    
  Gedichite von Eichendorff für eine Singstime und Klavier
楽士  
     アイヒェンドルフ歌曲集

詩: アイヒェンドルフ (Josef Karl Benedikt von Eichendorff,1788-1857) ドイツ
    Gedichte - 1. Wanderlieder  Der wandernde Musikant I

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Wandern lieb' ich für mein Leben,
Lebe eben,wie ich kann,
Wollt ich mir auch Mühe geben,
Paßt es mir doch gar nicht an.

Schöne alte Lieder weiß ich;
In der Kälte,ohne Schuh,
Draußen in die Saiten reiß ich,
Weiß nicht,wo ich abends ruh!

Manche Schöne macht wohl Augen,
Meinet,ich gefiel ihr sehr,
Wenn ich nur was wollte taugen,
So ein armer Lump nicht wär.

Mag dir Gott ein'n Mann bescheren,
Wohl mit Haus und Hof versehn!
Wenn wir zwei zusammen wären,
Möcht mein Singen mir vergehn.

さすらいが俺の愛する人生なのさ
いつでも好きにやっていく
堅気の暮らしなんざ
まるで性に合いやしない

昔のいい歌を知ってる俺は
寒い中、裸足のまんま
道端で弦を弾くのさ
夜のねぐらの当てもなく!

いい女が何人も俺に目をつけ
流し目を送ってくるぜ
俺が甲斐性なしのうえに
ルンペンでなけりゃと思いながら

お前らに神様が家付き土地付の
旦那をお与え下さいますよう!
もしも俺が一緒になったりしたら
もう歌えなくなっちまうからな


 気ままに生きる楽士の詩ですが、二連目はどこかシューベルトの「冬の旅」の老楽師を思わせます。あの老人がこんな能天気な男だったらと思うとちょっぴり愉快な気もします。原詩は「さすらいの楽士」”Der wandernde Musikant”という六編の詩からなる小詩集の一番目のもので、番号だけが付されタイトルはありません。
 ヴォルフの曲はリュートを模倣した可愛らしい伴奏のついた楽しいもの。この曲は真面目な人がいくら上手に歌っても面白くありません。素面の演技ではダメと言いますか、言っていることだってどこまで本当なのか本気なのかわからないのですから。その点、この手のユーモラスな曲の得意なホッター、そしてそのまんま(?)のプライは大変楽しく聴くことが出来ます。特にプライの歌唱は、オペラの一場面で楽師の衣装を着たユーモラスな演技が目に浮かんでくるようです。

(2005.07.05/11.09改訂 甲斐貴也)

( 2005.11.09 甲斐貴也 )


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