夜曲 |
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ひた走る 汀(なぎさ)に 月 雲より落ちぬ 水面に はるかなる月を 慕えど 白き足 空しくも 砂を 噛みて あはれ 暗き 胸に浮かぶ 灯(ともしび) |
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作詞の内田巌は本業は洋画家ですが、明治の文学者・内田魯庵の長男ということで詩の素養もあったのでしょう。なかなかの格調高いものです。平井のメロディもここでは日本情緒を極力抑えて、欧風のノクターンのような洒落た調べと生み出しています。「平城山」と同じ年に同じ作曲家が書いた作品とはにわかに信じがたい歌でした。
( 2018.01.05 藤井宏行 )