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Les filles de Cadix    
 
カディスの娘たち  
    

詩: ミュッセ (Louis Charles Alfred de Musset,1810-1857) フランス
    Poésies posthumes  Chanson (1844)

曲: ドリーブ (Clément Philibert Léo Delibes,1836-1891) フランス   歌詞言語: フランス語


Nous venions de voir le taureau,
Trois garçons,trois fillettes,
Sur la pelouse il faisait beau,
Et nous dansions un bolero
Au son des castagnettes;
Dites-moi,voisin,
Si j'ai bonne mine,
Et si ma basquine
Va bien,ce matin,
Vous me trouvez la taille fine?
Ah! ah!
Les filles de Cadix aiment assez cela.

Et nous dansions un bolero
Un soir c'était dimanche,
Vers nous s'en vint un hidalgo
Cousu d'or,la plume au chapeau,
Et la poing sur la hanche:
Si tu veux de moi,
Brune au doux sourire,
Tu n'as qu'a le dire,
Cette or est à toi.
Passez votre chemin,beau sire,
Ah! Ah!
Les filles de Cadix n'entendent pas cela.

Et nous dansions un bolero,
Au pied de la colline.
Sur le chemin passait Diégo,
Qui pour tout bien n'a qu'un manteau
Et qu'une mandoline:
La belle aux doux yeux,
Veux-tu qu'à l'église
Demain te conduise
Un amant jaloux?
Jaloux! jaloux! quelle sottise!
Ah! ah!
Les filles de Cadix craignent ce défaut là!


あたしたち、闘牛を見に行ったの
3人の男の子と3人の女の子で
芝生の上はいいお天気
だからあたしたち ボレロを踊ったの
カスタネットの音に乗せて
「ねえ言って 隣のあんた
あたしがいけてるかどうか
それとあたしのこのバスクの服
似合ってるかどうか 今朝は
あんたも思うでしょ あたしの腰がスリムだって?
ああ! ああ!
カディスの娘はこういうのが大好きよ!」

あたしたち ボレロを踊ってたわ
ある夕方 日曜日だったわ
あたしたちのところにやってきたの 一人の紳士が
金ぴかに飾り立てて 羽を帽子につけて
そいつはこぶしを腰にあててさ
「もし君がぼくのものになりたいのなら
可愛い笑顔のお嬢さん
君はただそう言いさえすればいい
この金は君のものだよ」だって
近寄らないで ご立派な旦那さま
ああ! ああ!
カディスの娘はそんなこと聞かないわ

あたしたち ボレロを踊ってたわ
丘の麓で
そばの小道をディエゴが通り過ぎた
身に着けてるのはマントと
そしてマンドリンだけで
「きれいな目をしたカワイコちゃん
君は望むかい 教会に
明日 連れてってもらうのを
嫉妬深い恋人に?」
嫉妬!嫉妬!なんて馬鹿げたこと!
ああ! ああ!
カディスの娘は大嫌い そんな欠点なんて


バレエ音楽の「コッペリア」や「シルヴィア」、インドが舞台ですが異国情緒は微塵もない(でも忘れがたいナンバーがめじろ押し)のオペラ「ラクメ」など、あれだけ魅惑的なメロディの曲を書いているのに今ひとつ現代のクラシックファンの間ではメジャーになれていないドリーブの、これまた魅力的なスペイン風の歌曲です。まだ10代の娘のころの「カルメン」が不良仲間を集めて遊びにいっている姿を思わせるような(確かにカルメン第2幕のジプシーの歌を思わせる旋律です。でも田舎の不良だから可愛いもんだ)なんとも面白い曲です。
いきなり激しいリズムのボレロの伴奏が始まったかと思うと、歌のところではゆったりとした導入部で「わたしきれい?」と始まり、最後は熱狂的に歌いきります。

スペイン出身のソプラノ、ロス・アンヘレスの歌うこの歌はその可愛らしさを強調したたいへん印象的な仕上がりで(EMI)、私はたいへん気に入っていますが、もう少しドスの効いたアルトでカルメンを連想させるような濃い歌を聴くのも面白いかなという気もします。バルトリの入れたのがそれに近いイメージで、太い声が面白かったですが、ドスの効いた貫禄という程でもなかったです。
むしろ、この曲はどちらかというとコロラトゥーラソプラノのレパートリーのようなので、録音はグルヴェローヴァ、シュトライヒはじめ高い声を駆使した技巧的な歌手のものが大半を占めています。
このスタイルで良かったのはデッセーのもので、伴奏の激しさと共に大変パワフルに聞かせてくれました。
あとはロス・アンヘレスの先輩にあたるスペインのメゾで世紀のカルメン歌いとして有名だったコンチータ・スペルピアの録音があるようなので、これは是非聴いてみたいと思っています。

(藤井宏行)1999.8.6 (2003.10.05改訂)

( 2003.10.05 藤井宏行 )


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