Japanisches Regenlied Lieder und Gesänge,I. Folge |
日本の雨の歌 リートと歌 第1巻 |
Wo ich ferne des Mikane Hohen Gipfel ragen seh', Fällt der Regen endlos nieder, Nieder endlos fällt der Schnee. Ganz so endlos wie der Regen Und der Schnee vom Himmel thaut, Ist auch endlos meine Liebe Seit ich dich zuerst erschaut. |
私は遠くあの御金の 高い頂に雨が降るのを見る 降っているのだ 雨は絶え間なく 絶え間なく降っているのだ 雪も そんな風に雨が絶え間ないように そして雪が空から落ちて来るように 絶えることはないのだ わが恋も あなたを初めて見た時から |
キーンツルという作曲家が同じ詩につけた歌曲を紹介しているページよりコメントを転記しました。−−−
こちらは万葉集から。これも他の曲同様ピエール・ルイスの訳となっておりましたが、Emily Ezstのページによれば、Keiko Hasegawaの2010年のウィーン大学の修士論文で作者がKarl Adolf Florenz 彼のDichtergrüsse aus dem Osten,Japanische Dichtungen (東方よりの詩の挨拶 日本の詩)より取られた という記載がありました。あのサイトで日本人の名前を見るのは珍しいですし、見たのがよもやキーンツルのページというのも意外でした。原詩も日本語で紹介されており色々調べる手間が省けてたいへん有難かったところです。
み吉野の 御金の嶽に 間無くぞ
雨は降るとふ 時じくぞ 雪は降るとふ
その雨の 間無きが如
その雪の 時じきが如
間もおちず
われはそ恋ふる 妹が正香に
(万葉集 巻13 3293)
御金(みかね)の山とは吉野山のことで、金の御嶽とも呼ばれています。あとの詩の内容は非常に明快ですので解説は不要ですね。
キーンツルのメロディは山に降りしきる雨雪のようにしっとりと、まるでウィンダム・ヒルのような伴奏にしなやかな歌のメロディが絡まってとても奇麗な歌です。シューマンの歌曲をさらに耽美的にしたような...
( 2017.12.05 藤井宏行 )