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Auf ein Ei geschrieben   Op.62-30  
  Das Holdes Bescheiden
卵の上書き  
     歌曲集「善き慎み」

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  Auf ein Ei geschrieben

曲: シェック (Othmar Schoeck,1886-1957) スイス   歌詞言語: ドイツ語


Ostern ist zwar schon vorbei,
Also dies kein Osterei;
Doch wer sagt,es sei kein Segen,
Wenn im Mai die Hasen legen?
Aus der Pfanne,aus dem Schmalz
Schmeckt ein Eilein jedenfalls,
Und kurzum,mich tät's gaudieren,
Dir dies Ei zu präsentieren,
Und zugleich tät es mich kitzeln,
Dir ein Rätsel draufzukritzeln.

Die Sophisten und die Pfaffen
Stritten sich mit viel Geschrei:
Was hat Gott zuerst erschaffen,
Wohl die Henne? wohl das Ei?

Wäre das so schwer zu lösen?
Erstlich ward ein Ei erdacht:
Doch weil noch kein Huhn gewesen,
Schatz,so hat's der Has' gebracht.

イースターは確かにもう終わってる
だからこれはイースターの卵じゃない
でもうさぎが五月に卵を置いたって
縁起が良いと言わない人がいるものかな?
フライパンでラードを使えば
どっちにしたって卵はおいしい
であるからして愉快なんだよ
君にこの卵を贈るのが
そしてうずうずしている
卵の上になぞなぞの落書きをしたくて

屁理屈屋と坊主が
喧々囂々論争した:
神はどちらを先に創りたもうたか
鶏が先か? 卵が先か?

これがそんなに難しい問いだろうか?
まず最初に卵が考え出されたのだ
しかしまだ鶏がいなかったものだから
そこで君、うさぎが持って来たというわけさ


 この詩について森孝明氏の全詩集(三修社)の注釈では『メーリケの機会詩はしばしば小さな絵や贈り物の素人の手細工と結び付いている』とあります。それ以上の具体的記述はないものの、誰かに贈られた卵細工に関連した詩であるととれます。五月のことであったらしいその贈り物を、キリスト教の行事で三月から四月にかけてのイースター(復活祭)に行われる子供のたちの卵拾いの卵を持ってくるとされるうさぎ(もちろん本当は大人たちが置くわけです)にひっかけたユーモア詩です。ただ森氏の訳も、クラーヴェス盤対訳も原詩四行目(拙訳では三行目)の”legen”を「産んだ」にしていますが、うさぎが卵を産むというのはどうにも変に思え、拙訳では素直に「置く」にしました。
 シェックの作曲はユーモアたっぷり子供に語りかけるような調子で、最終行のオチにはにやりとさせられます。イエックリンの全集盤ではソプラノのドウソンが歌っていますが、クラーヴェス全集盤のフィッシャー=ディースカウが断然優れていると思います。

( 2005.06.05 甲斐貴也 )


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