雀をどり 美濃びとに |
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雀、雀、と蔑(おと)しめしやんな、え、 どうせ、しがない雀ぢやとても、よ、 せめて歌はにやこの日が経たぬ。 ありやせ、こりやせ、 ありや、りやん、りやん、りやん、りやん。 せめて歌うたら日は経たうけれど 一羽一羽ぢや寂しうてならぬよ、 連れ衆よびたや、誰か友ほしや。 ありやせ、こりやせ、 ありや、りやん、りやん、りやん、りやん。 せめて二羽なら慰みませうが、 馴れてしまへば夫婦もいややよ、 寂し、うるさし、辛なるばかし。 ありやせ、こりやせ、 ありや、りやん、りやん、りやん、りやん。 寂し寂しで世はわたられず、え、 頭まろめて澄ましてゐよと、え、 空ぢや寒風、また、笹の雨。 ありやせ、こりやせ、 ありや、りやん、りやん、りやん、りやん。 どちら向いても笹藪ばかり、 空は高いし、地面は暗し、よ、 昔や遠いし、足腰やたたず。 ありやせ、こりやせ、 ありや、りやん、りやん、りやん、りやん。 命や短し、どうなるものぞ、え、 ままよ踊らにやこの日が経たぬ、 さあさ、踊りませう、雀のをどり。 ありやせ、こりやせ、 ありや、りやん、りやん、りやん、りやん。 |
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( 2017.11.12 藤井宏行 )