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La Manoir de Rosamonde    
 
ローズモンドの屋敷  
    

詩: ボニエール (Robert de Bonnières,1850-1905) フランス
      

曲: デュパルク (Eugène Marie Henri Fouques Duparc,1848-1933) フランス   歌詞言語: フランス語


De sa dent soudaine et vorace,
Comme un chien l'amour m'a mordu...
En suivant mon sang répandu,
Va,tu pourras suivre ma trace...

Prends un cheval de bonne race,
Pars,et suis mon chemin ardu,
Fondrière ou sentier perdu,
Si la course ne te harasse!

En passant par où j'ai passé,
Tu verras que seul et blessé
J'ai parcouru ce triste monde.

Et qu'ainsi je m'en fus mourir
Bien loin,bien loin,sans découvrir
Le bleu manoir de Rosamonde.

鋭い、貪欲なその牙で
野犬のように、恋は私に襲いかかる...
飛び散った血の跡に従って
ゆけ、どこまでも追って来い...

優秀な馬を駆って
さあ、私の歩く険しい道をついてこい
沼地や消えかかった小道を抜けて
この追跡に疲れ果てるまでは

私の通り過ぎたあとに
おまえは、一人傷ついた私の姿を見るだろう
この悲しみに満ちた世界中を歩き尽くした私の姿を

そして私は死んで行く
はるかかなた、あの青いローズモンドの屋敷を
見つけ出すこともなく


この歌曲会館で、全作品紹介完成の一番近いところにいるのが、主要歌曲作曲家の中ではこのデュパルクということになるのでしょう(しかしそれとていつのことになるやら...)。
彼の遺した10数曲の歌曲はどれも印象的なものばかりですが、今回はちょっと遠慮して比較的異色な作品を選んでみました。
冒頭から印象的なフレーズが続きます。歌舞伎に「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)」という将門の娘、滝夜叉姫を主人公にした妖しいお話がありますが、そんなことを思い起こさせる詩です。デュパルクにしては激しい音楽で、馬の蹄を模したピアノ伴奏で全曲が締められる、シューベルトやレーヴェによくありそうなドイツ風バラード(喩えると、シューベルトの「魔王」)を思わせる雰囲気が面白いですが、デュパルクのあの美しいフランス語に浸り込む楽しみはないかも知れません。

私はそんなにたくさん聴いているわけではありませんので、お勧めCDと呼べるほどのものはないのですが、この曲に関してはスゼーのが割と好きです(Philips)。

( 1999.11.17 藤井宏行 )


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