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Villanelle   Op.7-1  
  Les Nuits d'Été
ヴィラネル  
     夏の夜

詩: ゴーティエ (Théophile Gautier,1811-1872) フランス
    La Comédie de la Mort  Villanelle rythmique

曲: ベルリオーズ (Louis Hector Berlioz,1803-1869) フランス   歌詞言語: フランス語


Quand viendra la saison nouvelle,
Quand auront disparu les froids,
Tous les deux,nous irons,ma belle,
Pour cueillir le muguet au bois;

Sous nos pieds égrénant les perles
Que l'on voit,au matin trembler,
Nous irons écouter les merles
 Siffler.


Le printemps est venu,ma belle;
C'est le mois des amants béni;
Et l'oiseau,satinant son aile,
Dit ses vers au rebord du nid.

Oh! viens donc sur ce banc de mousse
Pour parler de nos beaux amours,
Et dis-moi de ta voix si douce:
 «Toujours !»


Loin,bien loin égarant nos courses,
Faisons fuir le lapin caché,
Et le daim au miroir des sources
Admirant son grand bois penché ;

Puis chez nous tout heureux,tout aises,
En paniers,enlaçant nos doigts,
Revenons rapportant des fraises
 Des bois.

新しい季節がやってくるとき
冬の寒さが消え去るときは
ふたりで出かけようよ いとしい人よ
森にスズランの花を摘みに

足元には珠のような露が
朝はいつも震えているのが見える
ツグミの声を聞きに行こう
 そのさえずりを


春が来たんだ いとしい人よ
ほら 月もぼくらを祝福してる
鳥は翼をはためかせながら
巣のそばで詩を語っているのだ

ああ、だからおいでよ 苔むしたベンチの上
ぼくらも愛を語らうために
そして君のとても優しい声で言ってよ
 「ずっと一緒」と


遠くへ 遠くへ 寄り道をして
隠れているウサギを見つけたり
泉に映る立派な角を
自慢しているシカを見てから

幸せな気持ちで家へ帰ろう
手を繋ぎ、カゴ一杯の
キイチゴを摘んで
 この森から


ベルリオーズの傑作歌曲集の「夏の夜」は、オーケストレーションの天才である彼自身の手によって目の覚めるような編曲を施されていますが、その中でもこの第1曲の美しさは溜息ものです。歌曲集の題名は「夏の夜」ですが、この曲は春の美しい情景と恋人との楽しいデートを描いていて、夢見るような幸福感に溢れています。
この曲の美しさを最大限に引き出していると私が思うのは、アンセルメ/スイスロマンド管弦楽団の伴奏で入れたフランスのソプラノ、レジーヌ・クレスパンの歌。軽やかな美しいフランス語の響きにオーケストラの色彩感が絡み合ってとても素敵です。第6曲「見知らぬ島」で挙げたベイカーやオッター、ノーマンなどの名歌手の競演も凄いですが、この曲だけは私はクレスパンのが好きです。

( 2005.04.29 藤井宏行 )


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