A Chloris Second Recueil de 20 mélodies |
クロリスに 20のメロディー第2集 |
S'il est vrai,Chloris,que tu m'aimes, Mais j'entends,que tu m'aimes bien, Je ne crois point que les rois memes Aient un bonheur pareil au mien. Que la mort serait importune De venir changer ma fortune A la felicite des cieux! Tout ce qu'on dit de l'ambroisie Ne touche point ma fantaisie Au prix des graces de tes yeux. |
本当かい クロリス きみがぼくを愛しているのは きみは愛してくれているのだとは分かっているけれど たとえ王様でもぼくほどに 幸せな気持ちは知るはずがない 死んでしまうなんてとんでもないこと たとえぼくの運命が この命を天国の幸せと引き換えると告げても 人々がアンブロジアについて語るどんなことも ぼくの空想をかきたてはしない きみの瞳の輝きの魅力ほどには |
17世紀の天才詩人といわれるテオフィル・ド・ヴィオー(1590-1626)の詩につけたとても美しい歌曲。バッハのメロディのような古典的の伴奏や装飾音が、まるでその時代の音楽であるかのように響きます。
すでにご紹介した 「彼女の館でとりこになったとき」と並んで、アーンの擬古典風歌曲の二大傑作といえましょう。
人気曲ですから多くの歌手が吹き込んでいますが、今私が一番気に入っているのはメゾソプラノのスーザン・グラハムが歌ったもの。彼女はアーンのメロディをとてもしっとりと歌った歌曲集を出していますが(Sony)、その冒頭を飾るこの曲は息をのむほどの美しさです。
(2005.04.17)
コンサートでお使い頂くことになりましたので訳詞を改訂致しました。特に第2節など原詩を全然読めていないことがわかり旧訳のひどさに愕然としておりますが気を取り直しいくつかコメントを。
2節目の死んでしまうのがこの主人公か、それともクロリスかという二種類の解釈がありました。後者の場合、「ぼくの幸運」というのが彼女のことを指しているという解釈なのですね。これも説得力はありますがここでは単純に天国にいくより今彼女の愛を受けていた方が良いという解釈を私は取りました。
また第3節にあるアンブロジアというのはギリシャ神話に出てくる神々の食べ物のことなのだそうで、不死の源となると言われています。
( 2011.02.12 藤井宏行 )