Ein Veilchen |
スミレ |
Ein Veilchen auf der Wiese stand, Gebückt in sich und unbekannt; Es war ein herzigs Veilchen. Da kam ein junge Schäferin Mit leichtem Schritt und muntrem Sinn Daher,daher, Die Wiese her,und sang. Ach! denkt das Veilchen,wär ich nur Die schönste Blume der Natur, Ach,nur ein kleines Weilchen, Bis mich das Liebchen abgepflückt Und an dem Busen matt gedrückt! Ach nur,ach nur Ein Viertelstündchen lang! Ach! aber ach! das Mädchen kam Und nicht in Acht das Veilchen nahm, Ertrat das arme Veilchen. Es sank und starb und freut' sich noch: Und sterb ich denn,so sterb' ich doch Durch sie,durch sie, Zu ihren Füßen doch. Das arme Veilchen! Es war ein herzigs Veilchen. |
一本のスミレが草原の上に咲いていた 身をちぢこめて誰に知られるでもなく そいつは可愛いスミレだった そこへやって来たのは若い羊飼いの娘 軽やかな足取りで元気一杯に こちらへ こちらへ 草原をこちらの方へ歌いながら ああ、スミレは考えた もしもぼくが この自然の中で一番きれいな花だったらなあ ああ。そしてほんのわずかな間だけでも ぼくをあのかわいこちゃんが摘んでくれて あの胸に押し当ててくれる ほんの ほんの 15分の時間だけでもあったらなあ と ああ、なのにああ、その娘はやってきても スミレにはちっとも気が付かず 哀れなスミレを踏み潰したのだ スミレは倒れて死んでしまった、でも喜んでいた これでぼくは死ぬけれど あの子のせいで、あの子のせいで 死ぬんだからな!あの子の足元で 哀れなスミレよ そいつは可愛いスミレだった |
そこそこの数の歌曲を書いたクララですが、ゲーテの詩につけた歌曲で今に残っているのはこれだけのようです。くしくもゲーテの詩による歌曲を同じく1曲しか遺さなかったモーツァルトと同じ詩の選択ですが、曲想もこれを意識したとしか思えない程良く似ています。なかなかに楚々として愛らしい歌ではあるのですが。
( 2017.10.05 藤井宏行 )