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Vaga luna,che inargenti    
  Tre Ariette
いとおしい月よ、銀色の光で  
     3つのアリエッタ

詩: 不詳 (Unknown,-) 
      

曲: ベッリーニ (Vincenzo Bellini,1801-1835) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Vaga luna,che inargenti
queste rive e questi fiori
ed inspiri agli elementi
il linguaggio dell'amor;

testimonio or sei tu sola
del mio fervido desir,
ed a lei che m'innamora
conta i palpiti e i sospir.

Dille pur che lontananza
il mio duol non puo lenir,
che se nutro una speranza,
ella e sol nell'avvenir.

Dille pur che giorno e sera
conto l'ore del dolor,
che una speme lusinghiera
mi conforta nell'amor.
いとおしい月よ、銀色の光で
岸辺や花々を照らす月よ
そして照らすところすべてに
愛の言葉を送り込む月よ

今はお前だけが証人だ
私の切ないこの想いの
あの娘に寄せるときめきと
溜息を伝えてやってくれ

伝えておくれ 遠く離れて
会えないと一層悲しみがつのる
私に希望があるとすれば
それは未来の中だけなのだと

伝えておくれ 昼も夜も
私は苦悩の時を送り
はかない希望だけで
この愛の心を支えていると

イタリアのオペラ作曲家ベルリーニの歌曲の中では一番知られた曲でしょうか。チェチーリア・バルトリのCDのように歌曲集の冒頭に録音していることも多い人気曲です。確かに濃いドラマはないですが、流麗で耳に優しい印象的なメロディは一度聴いただけでも忘れがたく、この若くして世を去った天才の傑作として多くの人に取り上げられるのも頷ける素晴らしい歌でしょう。ベルリーニの歌曲集というのも最近はちらほらと出ているようですが、私が聴いたことのあるのはCollinsレーベルにあったデニス・オニールの歌ったものと、Victorで出た佐藤由子さんの全集日本初録音。どちらもおなか一杯になるくらい美しいメロディを堪能できて素敵なのですが今や入手は難しいかも。この曲単独では上に挙げたバルトリのしっとりと歌ったものや、ディ・ステファノのド迫力あるカンターヴィレ、これぞイタリアって感じの歌が面白かったです。
五郎部俊朗さんの録音は、リリックな味がこの両者にない味を醸し出してまた格別。私のあまり好きでないイタリア古典歌曲の歌にもぐぐっと惹きつけられてしまいましたし、この人の歌うトスティなんかの抒情的な歌曲をもっとたくさん聴いてみたい気にさせます。女声では松本美和子さんの素敵な歌曲集がありますが、男声でのトスティ歌曲集、まだ私はこれぞ!というのを見つけていないので。
五郎部さんの日本の歌も大変素敵ですが、やはり本業(?)のイタリアものももっと取り上げて欲しいものです。
伴奏の岡田知子さんのピアノも大変美しい響きでこの美しい曲を引きたてています。

( 2005.03.06 藤井宏行 )


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