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Invito alla danza   P 67  
 
舞踏への誘い  
    

詩: ザンガリーニ (Carlo Zangarini,1874-1943) イタリア
      

曲: レスピーギ (Ottorino Respighi,1879-1936) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Madonna,d'un braccio soave
Ch'io stringa l'orgoglio dell'anca:
Voi siete d'amore la nave,
La vela,madonna,vi manca:
Io sono la vela a vogare
Intorno pel cerulo mare.

Voi siete la mobile fusta
Che il mar della musica sfiora:
Io sono la vela robusta
Che il viaggio dirige e rincora;
La nave risale,discende,
La vela ammaina,distende.

Volete che l'onda si svolga
In suon di gavotta gentile?
Volete che il valzer disciolga
La larga sua corsa febbrile?
Io faccio l'inchino di rito,
Madonna,e alla danza v'invito.

お嬢さん、このしなやかな腕で
あなたの素敵な体を支えましょう
あなたは愛の船だけれど
帆が、お嬢さん、ありませんよ
私はこの青い海の上で
船を走らす帆なのです

あなたは踊る船
音楽の海の上で揺れています
私は頑丈な帆
航海を導き、力付けます
船が波間を上下する中
帆は下がったり、広がったり

あなたはさざなみが立つのがお好みですか?
やさしいガヴォットの音によって
それともワルツの調べにのせて
大きく揺らぐ方がお好きでしょうか?
私は作法に従って
お嬢さん、あなたを踊りにお誘いします

偏見と言われればそれまでですが、日本語でこんな「舞踏へのお誘い」をやるとキザ以外の何物でもないですね。社交ダンスなんかをやられている人口もそう多くないですし、こういう感覚ってあまりないのではないでしょうか。少なくとも私はないです(踊れないし...)。
とはいえヨーロッパでは上流階級はこういったダンスも嗜みのうちなのでしょう。船と帆という実に上手い喩えでお嬢様(奥様かも)をお洒落に誘っています。音楽も波にたゆたう(よろめく?)船を表すかのような3拍子の軽やかなもの。
五郎部俊朗さんのイタリア歌曲集CD(Meister Music)のタイトルにもなり、その冒頭に置かれたこの歌、実に品に溢れて素敵です。彼の爽やかなテノールがささやくように歌えば、どんな女性でもくらっときてしまうのでは?

残念ながらあまり他には録音の多くない曲のようですが、レスピーギの数ある歌曲の中でも指折りの抒情的な歌だと私は思います。さわやか系のテナーにはもっと取り上げて欲しい歌です。

( 2005.03.06 藤井宏行 )


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