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Fantoches   L 80  
  Fêtes Galantes I
あやつり人形  
     艶なる宴T

詩: ヴェルレーヌ (Paul Verlaine,1844-1896) フランス
    Fêtes galantes 11 Fantoches

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Scaramouche et Pulcinella,
Qu'un mauvais dessein rassembla,
Gesticulent noirs sous la lune,

Cependant l'excellent docteur Bolonais
Cueille avec lenteur des simples
Parmi l'herbe brune.

Lors sa fille, piquant minois,
Sous la charmille, en tapinois,
Se glisse demi-nue,

En quete de son beau pirate espagnol,
Dont un amoureux rossignol
Clame la detresse a tue-tete.
スカラムーシュとプルチネッラ
ふたりで集まり悪だくみ
月の下の暗闇で身振り手振り

こちらでは希代の名医ドクター・ボロネア
のろのろと茶色の草むらから
薬草を摘んでいる

さてその娘、つんと澄まして
茂みのかげにこっそりと
肌もあらわにもぐり込む

娘が待つのは美しいスペインの海賊
折りよく恋に苦しむ夜鶯
声を限りに嘆きを歌う

個性的なドビュッシーの歌曲の中でも、この曲はひときわ印象に残ります。人形芝居の軽快な、それでいてどことなくぎこちない動きをスペイン情緒に乗せて歌います。
各フレーズのあとに出てくる「ラララ」のスキャットがまさにスペインの香り。ピアノも雄弁です。
伴奏を含めて最も興味深い録音はマジー・テイトのソプラノにアルフレッド・コルトーのピアノの歴史的録音。ゆったりめのテンポで貫禄たっぷりに歌われます。
同じくピアノでドビュッシーの名手といえばミシェル・ベロフ、彼はソプラノのヘンドリックスの録音があり、こちらは透明な軽やかさが魅力でしょうか。
最近聴いて面白かったのは、これもフランスの往年のテノール、ポール・デレンヌが作曲家アンリ・ソーゲの伴奏で録音したものでこの曲のユーモアとスペイン情緒を強調したスピーディな演奏、改めてこの曲の魅力を堪能しました。

( 2003.09.20 藤井宏行 )


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