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Charlie is my darling    
  The Arnold Book of Old Songs
チャーリーは私の好きな人  
     アーノルドの古い歌の本

詩: 英語の民謡 (Folksongs,-) 
      

曲: クィルター (Roger Quilter,1877-1953) イギリス   歌詞言語: 英語


Oh Charlie is my darling,my darling,my darling,
Oh Charlie is my darling,the young chevalier.

'Twas on a Monday morning,
Right early in the year,
When Charlie came to our town,
The young chevalier.
Oh Charlie is my darling,my darling,my darling,
Oh Charlie is my darling,the young chevalier.

As he cam' marching up the street
The pipes play'd loud and clear,
And all the folk cam' rinnin out
To meet the chevalier.
Oh Charlie is my darling,my darling,my darling,
Oh Charlie is my darling,the young chevalier.

Wi' Hieland bonnets on their heads
And claymores bright and clear,
They cam' to fight for Charlie
And the young chevalier.
Oh Charlie is my darling,my darling,my darling,
Oh Charlie is my darling,the young chevalier.

ああ、チャーリーは私の好きな人、好きな人、好きな人、
ああ、チャーリーは私の好きな人、若い騎士なのよ。

あれは月曜の朝、
年の初めのころだったわ、
チャーリーが私たちの町にやって来たのは、
若い騎士の彼がね。
ああ、チャーリーは私の好きな人、好きな人、好きな人、
ああ、チャーリーは私の好きな人、若い騎士なのよ。

彼が通りを行進してきた時
楽隊が大きな音で明るく奏でていたわ、
それで町の人々は走って出てきたの、
あの騎士に会おうとしてね。
ああ、チャーリーは私の好きな人、好きな人、好きな人、
ああ、チャーリーは私の好きな人、若い騎士なのよ。

頭にはヒーランドの帽子をかぶり
明るく輝く剣をさし、
彼らはチャーリーのために戦に来たの、
あの若い騎士のためにね。
ああ、チャーリーは私の好きな人、好きな人、好きな人、
ああ、チャーリーは私の好きな人、若い騎士なのよ。


詩はCaroline Oliphant (Lady Nairne) (1766-1845)という人の手によるらしいが、もとから伝わるスコットランド民謡を文字にしたというところではないだろうか。また、この民謡には、シューマンの歌曲でもお馴染みのバーンズRobert Burns(1759-1796)による若干異なる詩もあるようだ。
スコットランドのステュアート家最後の王ジェイムズ二世の孫チャーリー(1766年以降イングランド王チャールズ三世:僭称)(Charles Edward Louis John Philip Casimir Sylvester Maria Stuart : 1720-1788)は1745年7月25日(または8月3日)、亡命先のフランスからイングランドに戦いを挑むために祖国スコットランドのイリスキー島に上陸するが、ロンドンに向けて進軍する時のことを歌ったのがこの民謡である(今泉仁志氏の解説を参照させていただきました)。

クィルターは「アーノルドの古い歌の本」(The Arnold Book of Old Songs)という16曲からなる民謡編曲集を作曲しており(1947年出版)、その中の7曲目に置かれているのがこの曲である(私は2005年1月に辻裕久、なかにしあかね夫妻による演奏で、この曲集に含まれる有名な「マイ・レイディー・グリーンスリーヴズ」を聴き、この作曲家の繊細な感性を強く印象づけられた)。
この「チャーリーは私の好きな人」という民謡にクィルターは「スコットランドのジャコバイトの行進曲」(Scottish Jacobite marching tune 1775)というコメントを付け、ピアノパートにバグパイプを模す空虚5度(第3音の欠けた和音)を用いながら、鼓笛隊の響きを再現している。
言葉の繰り返しと軽快で覚えやすい旋律がクィルターの小粋なピアノで彩られて、詩の背景を知らなくても耳に残る音楽になっている。
この民謡には、詩は別のヴァージョンだが、ベートーヴェンも三重唱曲(歌とヴァイオリン、チェロ、ピアノという編成)として編曲している。

私が聴いたのはリサ・ミルンLisa Milne(S)とグレアム・ジョンソンGraham Johnson(P)によるNAXOSのCD(8.557116:1997年9〜10月録音)だが、まるでルチア・ポップを思わせるような光沢のある清楚な美声はクィルターの歌の美しさを最大限に伝えてくれる。ジョンソンの気の利いたピアノは相変わらずのうまさだ。

( 2005.01.22 フランツ・ペーター )


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