TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Noël des enfants qui n'ont plus de maison   L 139  
 
もう家のない子のクリスマス L139  
    

詩: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス
      Noël des enfants qui n'ont plus de maison

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Nous n'avons plus de maisons!
Les ennemis ont tout pris,
Jusqu'à notre petit lit!
Ils ont brûlé l'école et notre maître aussi.
Ils ont brûlé l'église et monsieur Jésus-Christ!
Et le vieux pauvre
Qui n'a pas pu s'en aller!

Nous n'avons plus de maisons!
Les ennemis ont tout pris,
Jusqu'à notre petit lit!
Bien sûr! papa est à la guerre,
Pauvre maman est morte
Avant d'avoir vu tout ça.
Qu'est-ce que l'on va faire?
Noël! petit Noël! n'allez pas chez eux,
N'allez plus jamais chez eux,
Punissez-les!

Vengez les enfants de France!
Les petits Belges,les petits Serbes,
Et les petits Polonais aussi!
Si nous en oublions,pardonnez-nous.
Noël! Noël!
Surtout,pas de joujoux,
Tâchez de nous redonner le pain quotidien.

Nous n'avons plus de maisons!
Les ennemis ont tout pris,
Jusqu'à notre petit lit!
Ils ont brûlé l'école et notre maître aussi.
Ils ont brûlé l'église et monsieur Jésus-Christ!
Et le vieux pauvre
Qui n'a pas pu s'en aller!
Noël! écoutez-nous,
Nous n'avons plus de petits sabots:
Mais donnez la victoire aux enfants de France!


わたしたちにはもう家がない!
敵がみな奪い去ってしまった
ちっちゃな私のベッドまでも!
学校も、先生も焼き尽くした
教会も、イエス・キリスト様も
そして、逃げることができない
かわいそうな貧しいおじいさんまでも!

わたしたちにはもう家がない!
敵がみな奪い去ってしまった
ちっちゃな私のベッドまでも!
おとうさんは戦争に行ってしまい
おかあさんは、死んでしまった
この残虐な仕打ちを見ることなく
これからどうすればいいの?
メリー・クリスマス。クリスマス。
やつらの家にはもう祝福がありませんように。
神様、やつらを罰してください。

フランスの子供たちよ。復讐を!
ベルギーの子も、セルビアの子も
ポーランドの子たちも。
かれら仲間たちを忘れてました お許し下さい。
メリー・クリスマス。クリスマス。
プレゼントのおもちゃはもうないけれど
日々のパンだけはどうかお恵みください

わたしたちにはもう家がない!
敵がみな奪い去ってしまった
ちっちゃな私のベッドまでも!
学校も、先生も焼き尽くした
教会も、イエス・キリスト様も
そして、逃げることができない
かわいそうな貧しいおじいさんまでも!
メリー・クリスマス。神様、お聞きください
わたしたちにはもう、履く靴すらないけれど
フランスの子供たちに、勝利をお授けください


ドビュッシーの歌曲としては異色な部類に入るのでしょう。彼の最晩年、第1次世界大戦が勃発し、多くの戦災孤児が生まれたことに心を痛め、自ら詩を書いて曲を付けたものです。もちろん彼独特の色彩感や繊細な言葉の扱いにも富んだ美しい歌ではあるのですが、それ以上のメッセージを伝えてくれるとても重たい歌だと思います。
今の世界においてもコソボや東チモール・スーダンやリベリアなど、戦争で悲惨な状態にある子供たちはたくさんいます。
その子供たちが気の毒と思う以上に、これを聴いて私が暗澹たる気持ちになるのは、この詩に歌われているような憎しみの心が子供の心にも深く刻み込まれ、そして争いの歴史が永遠に繰り返されるということなのです。
クリスマスという年1回の楽しいお祭りが、このように暗く重苦しく祝われなくてはならないこと、この曲が作られてから80年以上経ってなお、世界は何も変わっていないという悲しい現実を考えさせられてしまいます。
私が聴いたCDの中では、ロス・アンヘレスの歌ったのが(EMI)、迫真のこもった歌声といい、滲み出てくる悲しみといい、
素晴らしいと思いました。
クリスマスだ、師走だと浮かれず、人類の行く末に思いを巡らす(ちょっと大袈裟か?でも今年はY2K問題もありますし...)
のもまた正しい年末の過ごし方のひとつかと思いませんか。

( 1999.12.13 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ