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Odi quel Rosignolo (Canto di Rosignolo)    
  Le musiche,Book 4
聞きたまえ、サヨナキドリが(サヨナキドリの歌)  
    

詩: ブラッチョリーニ (Francesco Bracciolini,1566-1645) イタリア
      

曲: ディンディア (Sigismondo d'India,1582頃-1629) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Odi quel Rosignolo
Che dolcemente canta?
E chi forse ti credi
Che gli dia tanto spirto,e tanta voce
In sì piccole fauci,e che gl'insegni
Spirar musico suone,
Hor lunghissimo,hor tronco
Hora raccolto,hor sparso
Odi come gli accenti
Hora promette,hor gli niega,
Hor gl'intreccia,hor gli lega,
Hor gli discioglie.

Mormora seco alquanto
E spiega poi repente il canto,
Hor chiaro,hor pieno,hor grave,
Hora sottile,hor molle,
Hor l'inalza,hor li cade,
Hor la sostiene,hor la spiega,
Hor la vibra,hor l'inaspra,
Hor la tempra,hor l'ammollisce:
Il mastro e solo Amore.

聞きたまえ サヨナキドリが
優しく歌うのを
いったい誰が教えたのかと思うだろう
あの小さな口から 
あんなにも長い息と 
豊かな声を出すことを
延々と 切れ切れに
落ち着き 発散する
妙なる歌声の出し方を
聞きたまえ 誓い 拒み 
組み合わせ つなぎ 
解く その歌い方を

しばらく胸の内で呟き
突如声を張り上げ歌う
明るく 力一杯 荘重に
鋭く 柔らかく
上昇し 下降し
持続し 張り上げ
震え 苛立ち
力強く 柔らかく:
愛だけがその師匠なのだ

ディンディアはモンテヴェルディと同時代のイタリアの作曲家。モンテヴェルディやジュズアルドの様式を取りいれて、ポリフォニー、モノディ双方に数多くの作品を残しているそうです。この作品はモノディー様式の独唱歌曲。詩のブラッチョリーニは同姓で名の知られる人文学者ポッジョ・ブラッチョリーニ(1380-1459)とは別人です。苦手なイタリア語のしかも古語なので訳すのが大変でしたが、既存の邦訳や英訳も参考になんとかでっち上げました。
特にどうという詩でもありませんが、曲の方はナインチンゲールの鳴き声を模倣する細かい音符を多用した驚くべきものです。古楽の名歌手エマ・カークビーの「エマ・カークビーの肖像」というCD(オワゾリール/ポリドールF35L-20056)の冒頭に収められていて、もう20年も前、この盤でこの曲とカークビーを初めて聴いたわたしはその超絶技巧にすっかり圧倒されたものでした(現在出ている同じタイトルの盤は選曲と曲順が異なるようです)。ただ、これはすごいと思って友人に勧めると「気持ち悪い」という反応が返って来てがっかりしたこともありました。好き嫌いもあるでしょうが、鳥が好きな人にはお薦めの曲と歌唱です。

( 2005.01.04 甲斐貴也 )


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