Die Nachtigall Sieben frühe lieder |
小夜鳴鳥 7つの初期の歌 |
Das macht,es hat die Nachtigall Die ganze Nacht gesungen; Da sind von ihrem süßen Schall, Da sind in Hall und Wiederhall Die Rosen aufgesprungen. Sie war doch sonst ein wildes Blut, Nun geht sie tief in Sinnen, Trägt in der Hand den Sommerhut Und duldet still der Sonne Glut Und weiß nicht,was beginnen. Das macht,es hat die Nachtigall Die ganze Nacht gesungen; Da sind von ihrem süßen Schall, Da sind in Hall und Wiederhall Die Rosen aufgesprungen. |
一晩中鳴いていた 小夜鳴鳥のせいだ その甘美な声に その響きと木霊に 薔薇の蕾が開いたのだ お転婆だったあの娘は 今深い想いに沈む 夏の帽子を手に持ち じっと燃える陽射しに耐えている わからないのだ、どうしたらいいのか 一晩中鳴いていた 小夜鳴鳥のせいだ その甘美な声に その響きと木霊に 薔薇の蕾が開いたのだ |
シュトルムはわが国でも「水に沈む」などの小説で知られる小説家・詩人で、メーリケとも交友がありました。ペルシアの伝説に由来する小夜鳴鳥と薔薇の恋の伝説を用いて少女の初恋を描く、いかにもロマン派好みの詩です。ABAの三部形式で、歌詞として使うことを考えて書かれているようでもあります。ベルクの曲は高音が多用されたオペラ的に大柄なもの。語りかけるよりも響きで物を言う趣があるので、ピアノ版よりオーケストラ版の方が聴き映えがするように思いました。
演奏はオケ版ではブーレーズ指揮ロンドン響を従えたジェシー・ノーマンがオペラティックな圧倒的スケール(ソニー)。アバドの伴奏するオッター(グラモフォン)はよりリート的に細やか。わたしはこちらが好きです。ピアノ版では白井さん(カプリチオ)とポップ(BMG)。なおこの詩にはルドルフ・モーザーも作曲しています。
( 2005.01.10 甲斐貴也 )