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Green   L 60  
  Ariettes Oubliees
水彩画:グリーン  
     忘れられた小唄

詩: ヴェルレーヌ (Paul Verlaine,1844-1896) フランス
    Romances sans paroles - Aquarelles 1 Green

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Voici des fruits,des fleurs,des feuilles et des branches
Et puis voici mon coeur qui ne bat que pour vous.
Ne le déchirez pas avec vos deux mains blanches
Et qu'a vos yeux si beaux l'humble présent soit doux.

J'arrive tout couvert encore de rosée
Que le vent du matin vient glacer à mon front.
Souffrez que ma fatigue à vos pieds reposée
Rêve des chers instants qui la délasseront.

Sur votre jeune sein laissez rouler ma tête
Toute sonore encore de vos derniers baisers ;
Laissez-la s'apaiser de la bonne tempête,
Et que je dorme un peu puisque vous reposez.

ここにほら 果物が 花が 葉と枝が
それからほら ぼくの心が震えてる 君だけのために
どうか引き裂かないでおくれ これを君の白いふたつの手で
そして君の美しい目に この慎ましい贈り物が心地よく見えて欲しい!

ぼくはやって来たんだ 朝露に濡れながら
朝の風は凍りつかせたんだ ぼくの額を
許しておくれ 疲れ切ったぼくが君の足元で安らぐのを
夢見ることを 甘美な時がぼくの体を癒してくれるのを

君のうら若き胸の上に 横たえさせておくれ ぼくの頭を
まだ高鳴っているんだ さっきの君のくちづけのせいで
静めさせておくれ この心地よい嵐を
そして少し眠らせて欲しい 君も休んでいるのだから


同じ詩に違う作曲家が曲をつけるのは良くあることですが、この有名なヴェルレーヌの詩でのフォーレとドビュッシー、全く違う解釈でメロディーを付けているのが興味深いです。
淡々として想いを語る感じのフォーレに対し、想いの丈を精一杯ぶちまけるように訴えるドビュッシー、どちらも印象的です。特に私は長いことフォーレのを聴きなじんでいたので、初めてドビュッシーのを聴いた時は衝撃でした。叩き付けるピアノの序奏が終わるか終わらないうちに飛び出してくる、恋人にありったけのものを捧げようという昂ぶった気持ちが抑えられないかのような焦燥感あふれる叫び、こんなに熱い恋の歌はフランス歌曲ではなかなか聴けません。
詩も良く読むと、心臓の鼓動が生々しく聴こえてきそうな情熱的なものです。
この曲はしかし、バリトンやテナーが歌うとちょっと生々し過ぎて抵抗があり、透明なリリコ・ソプラノが一番しっくりくるような気がします。
私の愛聴盤はヘンドリックス(EMI) ですが、古ーいところでニノン・ヴァランなんかもいいですね。
(藤井宏行) 1998.08.02 (2003.9.14改訂)

( 2003.09.14 藤井宏行 )


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