Keine Rettung : Fünf Sprüche Op.62-24 Das Holdes Bescheiden |
「救い難し」〜『五つの短詩』より 歌曲集「善き慎み」 |
Kunst! o in deine Arme wie gern entflöh’ ich dem Eros! Doch,du Himmelishe,hegst selbst den Verräter im Schoß. |
芸術よ! おお、エロスから逃れてお前の腕に抱かれたらどんなに嬉しいだろう! だがしかし神々しいお前は、その胎内で裏切り者を育てている。 |
これまた『善き慎み』からかけ離れた詩。要するに詩人はエロスから逃れられない。そして芸術とは実はエロスを内包するものという観照。畢竟この詩人が芸術を生み出す源泉はエロス=愛なのです。
『五つの短詩』はメーリケの二行詩などごく短いものを5つ集めた、歌曲集中の小歌曲集とでもいうべきユニークなものです。「短詩」と訳した”Sprüche”は本来「警句」「格言」の意がありますが、そのような要素の全く含まれないものも入っているので「短詩」にしておきました。二種の全集ではクラーヴェスの白井さんが圧倒的に素晴らしいです。
( 2004.12.04 甲斐貴也 )