秋の女よ |
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泣き濡れて、秋の女(おみな)よ わが幻のなかに来る 泣き濡れた秋の女を 時雨だと わたしは思ふ、 泣き濡れて 秋の女よ 汝(なれ)は古城の道に去る 頸(うなじ)に柳葉がちりかゝる 枯れた蓮(はちす)を見もしない、 泣き濡れて 秋の女よ 汝があゆみは 一歩一歩 愛する者から遠ざかる 泣き濡れて 泣き濡れて 泣き濡れて 秋の女よ わが幻のなかに去る 泣き濡れた秋の女を 時雨だとわたしは思う 一しきり わたしを泣かせ またなぐさめて 秋の女よ 凄まじく枯れた古城の道を わが心だと わたしは思ふ |
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( 2017.02.26 藤井宏行 )