ヒュッテの一夜 |
|
雪に埋もれし 白銀(しろがね)の 山のヒュッテに 眠る夜は 赤い焚火に 頬寄せて 乙女ごころは ほのぼのと 懐かしいやら 怖いやら とびら開くれば 白樺の 影にかがやく お月さま いっそ滑ろよ 滑りましょ 銀のシュプール 美しく 月を今宵の 思い出に 雪に旅する はつ春の ヒュッテうれしや なつかしや 谷の雪崩を きゝながら 君と愉しき 只一夜 夢もほのかに 眠りましょ |
|
昭和初期のスキーリゾートで一夜を過ごす乙女心。ただ詞が佐藤惣之助なのでカタカナを散りばめつつもかなり演歌調の雰囲気が濃厚にでています。そこに古関がつけたメロディは演歌調に引きずられながらも微妙に洋物風の主張を織り込んでいるようで、若き作曲家の面目躍如といったところ、伴奏に使われた鈴の音もとてもいい味を出しています。松原操(ミス・コロムビア)のしっとりした歌もこの曲調にはぴったりです。まあ戦前の妙な歌謡曲と括られても文句は言えない曲ではあるのですが。
( 2017.02.04 藤井宏行 )