Dust of Snow Three Poems of Robert Frost |
雪のひとひら ロバート・フロストの3つの詩 |
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道すがら 一羽のカラスが 揺すって落とした 私の上に 雪のひとひらを ツガの木から それは与えてくれた 私の心に 気持ちの変化を 少しは抑えてくれたのだ 私の沈んでいた気持ちを (歌詞は大意です。もともと短い詩なもので...) |
アメリカの現代作曲家の中でも大御所ともいえるエリオット・カーターの歌曲です。いわゆる前衛的なもわっとしたような曲(そんなのも彼は書いてはいますが)かと思いきや、これはなんと分かりやすい、素敵なメロディの曲でしょうか!
ピアノのジャズ・スウィングを思わせるシンコペーションに乗って、訥々と歌われるメロディ、それでもハッとするような響きはやはり現代の響きです。詩人のロバート・フロスト(1874-1963)はアメリカの国民詩人と呼ばれ、ニューイングランド(東部)の自然を称える詩では右に出るものはいないのだそうで、実に短い、単純な詩の中に情景をぐっと凝縮して描いています。曲もそんな雰囲気に沿って、これぞアメリカという雰囲気で迫ってきます。
上ではジャズと書きましたが、むしろスプリングスティーンあたりのロックンロールに繋がるものがある、と言った方が適当かも知れません。
作曲者は同じ詩人の3つの詩に曲を付けており、この「Dust Of Snow」 「The Rose Family」「The Line Gang」どれも素敵な音楽です。
木管や打楽器による室内楽伴奏になるものは、コープランドの音楽のように古いアメリカ(清教徒の感謝祭でも聴くような雰囲気)が感じられて面白いのですが、私は研ぎ澄まされた響きが刺激的なピアノ伴奏の方が気に入っています。
前者は、P.メーソンのバリトンによるもの(Bridgeレーベル)とR.リースのメゾによるもの(Composers Recording)があります。どちらかというとこの曲は女声の方が合っているように思います。
またピアノ伴奏では、初めの2曲しか収録されていませんが、デ・ガエタニ(メゾ)の歌うアメリカ歌曲集(Nonsuch)の中に収録されているのがとても素敵です。
( 2002.01.05 藤井宏行 )