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I feel pretty    
  West Side Story
あたしってプリティ  
     ミュージカル「ウエスト・サイド物語」

詩: ソンドハイム (Stephen Joshua Sondheim,1930-) アメリカ
      

曲: バーンスタイン (Leonard Bernstein,1918-1992) アメリカ   歌詞言語: 英語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
[マリア]
あたしってプリティ
おお とってもプリティ
あたしってプリティで お茶目で 明るいの
かわいそう あたしの他のどんな子も 今夜は

あたしってチャーミング
おお とってもチャーミング
びっくりするくらい なんてチャーミング
かわい過ぎて信じられない これが自分だと

見て この可愛い子を 鏡の中にいる
誰がなれるかしら こんな魅力的な少女に?
あんなにかわいい顔をして
あんなにかわいいドレスで
あんなにかわいいスマイルで
あんなにかわいいあたし!

あたし ぼーっとしちゃう
そしてうっとりしちゃう
走って踊りたい気分 うれしくて
だって愛されているんだもの とっても素敵な男の子に!

[仲間の女の子たち]
会ったことある あたしの親友のマリアに?
一番いかれた女の子よ このあたりで
すぐにその子だって分かるわ 見た瞬間に
ショックが進行した状態にある子だから

この子 思ってるの 恋に落ちてると
この子 思ってるの スペインにいると
この子 恋に落ちてなんかいないわ
ただイカレてるだけなのよ

それはきっと発熱ね
それとも何か珍しい病気かも
それとも食べすぎかしら
もしかしてノミに食われたせいかもね

離れて この子から
呼んで来て チノを
これはマリアじゃないわ あたしたちの知ってる

正直で 純粋で
礼儀正しくて 垢抜けてる
育ちが良くて 大人びてて
だけど頭がぶっ飛んでるの!

  (ミス・アメリカのスピーチよ!)

[マリア]
あたしってプリティ
おお とってもプリティ
この街があたしに名誉の鍵を贈ってくれるくらい
委員会が組織されるべきよ あたしを讃えるために
  (ラ・ラ・ラ・・・)

あたしってクラクラ
あたしってウキウキ
シュワシュワで ワクワクでゴキゲン
こんなにプリティなんだから
今のミス・アメリカはすぐにでもクビだわ
  (ラ・ラ・ラ・・・)

見て この可愛い子を 鏡の中にいる
  (どんな鏡?どこの?)
誰かしら あの魅力的な少女は?
  (どの?何よ?どこの?誰のこと?)
あんなにかわいい顔をして
あんなにかわいいドレスで
あんなにかわいいほほ笑みで
あんなにかわいいあたし!

あたし ぼーっとしちゃう
  (あたし ぼーっとしちゃう)
そしてうっとりしちゃう
  (そしてうっとりしちゃう)
走って踊りたい気分 うれしくて
  (走って踊りたい気分 うれしくて)
だって愛されているんだもの とっても素敵な男の子に!

(詞は大意です)

ジェローム・ロビンスの鮮烈な振り付けと、レナード・バーンスタインのラテン音楽のイディオムを最大限に生かしたポップな音楽で一大センセーションを巻き起こしたミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」、ニューヨークの下町が舞台ですが話の筋はほとんどシェークスピアの悲劇「ロメオとジュリエット」。この映画化にあたっても、主役のマリアを演じたナタリー・ウッドの歌声を当てたのはミュージカル映画の声の影武者、マーニ・ニクソンでした。
”Tonight”や”Somewhere”のような抒情的な歌はもちろん、ジャズやポップスのスタイルの歌も見事にこなして映画を引き締めてくれていると思います。

さて、このミュージカルでマリアの歌から1曲選ぶとすればやはりこれでしょう。プエルトリコ移民の娘らしくフラメンコのリズムに乗って恋をしたうきうきする気分を、鏡に映ったお洒落な自分にうっとりしながら歌います。このあと兄が恋人に殺されるというとんでもない悲劇に見まわれる直前の束の間の幸せを...
これくらいノリのいい歌だと、半端なクラシック系歌手の歌では聴くに耐えないものになってしまいますがさすがマーニ、絶妙の歌唱です。
晩年のバーンスタインはこの曲やキャンディードなどの自作の舞台作品をクラシック系の歌手で次々録音していましたが、残念ながら私の耳で聴く限りではオリジナルの、あるいは映画や舞台にかけるミュージカルとしてプロデュースされたものの生気とウイットに欠けている味気ないものになってしまっていたように思います。どうせカレーラスとキリ・テ・カナワで入れるのならグノーのオペラ「ロメオとジュリエット」にしていた方がよほど見事だったのでは、と聴きながら感じました。
1980年代終わりから1990年代にかけて、クラシック歌手を起用したミュージカルのリメイク録音がいろいろ出ましたが、「ショウ・ボート」のようにクラシカルなものはそれなりに魅力的なのに対して、やはりこんな感じのミュージカルはちょっとハードルが高すぎたでしょうか?歌手の選定の問題もありますが軒並み苦戦しています。

そういえばこのミュージカルで、バーバラ・ボニーがマリアを歌った録音がありましたが(1993 Warner)、これもなんか怖いので手を出していません。アメリカ出身ではありますが、なんとなく彼女はミュージカルは得意ではなさそうな感じがしますし...
クラシック系の歌手では、この曲I feel prettyだけではありますがドーン・アップショウの歌ったやつがとっても素敵(Nonesuch)。彼女はこっちの方のセンスもいいですね。このミュージカルナンバーを集めたアルバム「I Wish It So」、ビルツシュタイン、ワイル、バーンスタイン、ソンドハイムの渋い作品からの選曲ですが、ワイルの「Saga of the Jenny」のような非常にJazzyなナンバーから、バーンスタインの「Glitter and be Gay」のようなコロラトゥーラの難曲まで多彩な表情で見事です。

また、映画が鮮烈すぎてブロードウエイのオリジナル・キャストの印象が霞んでしまいがちですが、舞台でマリアを歌ったキャロル・ローレンス、この人の初々しい歌が一番マリアのイメージに近いかも。何と言っても設定では18歳くらいの少女なはずなのですから。

( 2004.11.14 藤井宏行 )


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