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Would'nt it be loverly?    
  My Fair Lady
ステキじゃない?  
     ミュージカル「マイ・フェア・レディ」

詩: ラーナー (Alan Jay Lerner,1918-1986) アメリカ
      

曲: ロウ (Frederick Loewe,1904-1988) アメリカ   歌詞言語: 英語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
[商人1]
まったく退屈だぜ この町は
出かけるとしようか おいらはパリーへ
Mm...

[商人2]
俺のカミさんは開きたいんだとさ
城を カプリ島に Mm...

[商人3]
わしに医者は勧めてるんだ
静かな夏を 海辺での

Mm... Mm...
こりゃゴキゲンじゃねえか?

[イライザ]
あたしが欲しいのはどっかの小さな部屋
気にしなくていいのよ 冷たい夜風も
そしてものすごく大きな椅子があるの
うー ゴキゲンじゃない?

たくさんチョコレートが食べれて
たくさんの石炭でとってもあったかい
あったかい顔 あったかい手 あったかい足
うー ゴキゲンじゃない?

あう そしてゴキゲンに座って ゼッタイにじっとしてて
あたしは身動きひとつしないの 春が
忍び寄ってくるまで あたしの窓辺に

誰かさんの頭が休んでる あたしのひざの上で
あったかくてやさしいの サイコーに その人はあたしを愛してくれる
あう それってゴキゲンじゃない?
ステキね ステキね ステキね ステキね

(詞は大意です)

ロンドンのオペラハウスの前の花売り娘イライザ、言語学者でハイソのヒギンズ教授に言葉の訛りを思いきりけなされる冒頭。それでも教授からけっこうな額のお金を花代(というよりもひどい訛りの見本を示した謝礼???)に貰って、他の露天商たちの前でスキップしながら幸せいっぱいに歌う可愛らしい歌です。
Takeを「タイク」と発音したり、awayを「アワイ」と発音したり、見事なくらいの訛りなのですがそれがまた実にいい。舞台で歌ったジュリー・アンドリュースのお茶目さも捨てがたいですが、映画のマーニ・ニクソンもちょっと気取った感じがGoodです。
(映画では主演のオードリー・ヘップバーンの歌をマーニ・ニクソンが吹替えています)

その後ヒギンズに鍛えられ、訛りや立ち居振る舞いがハイソサエティに通用するようになりますが、非人間的な扱いにいたたまれなくなって飛び出して、この場所に戻ってきたときに再びこの歌を口ずさむ時にはその訛りが取れているのが何とも物悲しく、もうそこに戻れないような上品な言葉遣いを身につけたのは彼女にとって幸せだったのかどうか?
個人的には結末に承服できないものはあるのですが(原作のバーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」とは逆のハッピーエンドに変えられている)、すてきな音楽とヒギンズ教授のユニークなキャラで、アメリカミュージカルの中でも指折りの魅力的な作品に仕上がりました。映画も舞台そのままを丁寧に撮った感じでなかなかの出来だと思います。

19世紀の終わりから第2次大戦前夜にかけては、ヨーロッパからたくさんの音楽家がアメリカに移住あるいは亡命し、アメリカの音楽のレベルを上げてくれましたが、このマイフェアレディを作ったフレデリック・ロウ(1904-1988)もそんな中のひとり、彼はベルリン生まれですから、名前をドイツ語読みすればフリードリヒ・レーヴェですね(ドイツの歌曲作曲家カール・レーヴェの親類なのでしょうか?)。彼は作詞家のジェイ・ラーナーとのコンビで色々な作品を作っていますが、やはりこのマイ・フェア・レディが最高傑作でしょう。
彼の少し前に活躍したヨーロッパ出身のオペレッタ作曲家(ロンバーグやハーバート・フリムルといった人たち)の流れをくむ、もしかしたら最後のヨーロッパの香りを残したアメリカ舞台音楽の作曲家といえるかも知れません。

マーニの歌った映画のサントラ盤も良いですが、できれば映像付きで見たいもの(映画のDVDの方がサントラCDより安く買えるかも...変な時代になったものです)。総合的にはやはりまだ初々しいジュリー・アンドリュースの歌ったブロードウエイのオリジナルキャスト盤が一押しかも。一時期キリ・テ・カナワの歌ったDecca盤がありましたが、彼女は全然ミュージカルには向きませんでしたね。歌い崩し方が気に入らなくてこの歌なんかはイライラしながら聴いた記憶があります。(2004.11.14)

他の曲と合わせて訳詞改訂しました。改めてジュリー・アンドリュースの初々しい魅力を堪能しました。

( 2021.10.09 藤井宏行 )


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