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薔薇と花子    
 
 
    

詩: 与謝野晶子 (Yosano Akiko,1878-1942) 日本
      

曲: 弘田龍太郎 (Hirota Ryutarou,1892-1952) 日本   歌詞言語: 日本語


花子の庭の薔薇の花
花子の植えた薔薇なれば
ほんによう似た花が咲く
色は花子の頬の色に
花は花子のくちびるに
ほんによう似た薔薇の花

花子の庭の薔薇の花
花が可愛いと 太陽も
黄金(きん)の油を振撒けば
花が可愛いと そよ風も
人目に見えぬ 波形の
薄い透綾(すきや)を着せに来る

側で花子の歌う日は
薔薇も香の気息(いき)をして
花子のような声を出し
側で花子の踊る日は
薔薇もそよろと身を揺(ゆす)り
花子のような振(ふり)をする

そして花子の留守の日は
涙をためた目を伏せて
じっと俯向く薔薇の花
花の心のしおらしや
それも花子に生き写し
花子の庭の薔薇の花



与謝野晶子の艶めかしい詩に弘田がしっとりとしたメロディをつけています。もっと広く歌われて良い傑作のひとつだと思います。

( 2017.01.15 藤井宏行 )


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