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Was soll der Zorn,mein Schatz,der dich erhitzt?    
  Italienisches Liederbuch
なにを怒っているの、大切な方、そんなに熱くなって  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Rispetti 124 Was soll der Zorn,mein Schatz,der dich erhitzt? 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Was soll der Zorn,mein Schatz,der dich erhitzt?
Ich bin mir keiner Sünde ja bewußt.
Ach,lieber nimm ein Messer wohlgespitzt
Und tritt zu mir,durchbohre mir die Brust.
Und taugt ein Messer nicht,so nimm ein Schwert,
Daß meines Blutes Quell gen Himmel fährt.
Und taugt ein Schwert nicht,nimm des Dolches Stahl
Und wasch' in meinem Blut all meine Qual.

なにを怒っているの、大切な方、そんなに熱くなって。
あたしは何も悪いことをした覚えはないわ。
あぁ、いっそのこと良くとがったナイフを手にとって
あたしに近づき、この胸をひと貫きにしてくれない。
ナイフじゃ役立たずというのなら、剣をとったら。
天に向かってあたしの血の泉が噴き上がるでしょうよ。
剣でもまだ済まないというのなら、鋼の短刀をとるがいいわ。
血の中で、あたしの苦しみをみな洗い流してちょうだい。


短いながら強烈な印象を与える曲で、歌とピアノの畳み掛けるような劇的な表現に聴き手も興奮させられる。歌うのは女声が多いが、性を特定する語があるわけではないので男声でも可能である(プライが歌っている)。恋人から身に覚えのない怒りを買い、命がけで身の潔白を訴えるという内容だが、気性が激しい人なのか、それとも恋人に捨てられたくない一途な人なのか、演奏者によって異なる解釈が可能だろう。ピアノ低音部の轟くような細かい音型が切迫した雰囲気を盛り上げる。

シュヴァルツコプフ&ムーア:相手の怒りに対する不満の爆発だけでなく、哀しみの表情も織り交ぜて、深い表現。
アーメリング&ボールドウィン:清らかな美声で歌われるがゆえの痛々しさが効果的。ボールドウィンも良い演奏。
プライ&ヴァイセンボルン:男声で歌われるのは珍しいが、若さみなぎる熱い表現で苦悩がストレートに伝わり、とてもいい。
ボニー&パーソンズ:内面に向けられた表現が印象的。
マティス&エンゲル:全身全霊で歌い、弾き、聴き手の心に突き刺さる。
エルツェ&ヤンセン:彼女なりにパワー全開でぶつかっている。最後の「Qual」で聞かせるドスの効いた声に驚かされる。

( 2004.10.24 フランツ・ペーター )


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