ひとり林に... 立原道造による四つの歌 |
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だれも 見てゐないのに 咲いてゐる 花と花 だれも きいてゐないのに 啼いてゐる 鳥と鳥 通りおくれた雲が 梢の 空たかく ながされて行く 青い青いあそこには 風が さやさや すぎるのだらう 草の葉には 草の葉のかげ うごかないそれの ふかみには てんたうむしが ねむってゐる うたふやうな沈黙に ひたり 私の胸は 溢れる泉! かたく 脈打つひびきが時を すすめる |
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これはほんのりと日本情緒を醸し出し、ユーモアさえ漂わせながらしっとりと歌われます。最後の心の思いを訴えるところなど語りかけるように曲想を変えて印象的に曲を終えます。
( 2016.12.31 藤井宏行 )