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Beautiful dreamer    
 
夢路より(夢見る佳人)  
    

詩: フォスター (Stephen Collins Foster,1826-1864) アメリカ
      

曲: フォスター (Stephen Collins Foster,1826-1864) アメリカ   歌詞言語: 英語


Beautiful dreamer, wake unto me,
Starlight and dewdrops are waiting for thee;
Sounds of the rude world heard in the day,
Lull'd by the moonlight have all pass'd away!

Beautiful dreamer, queen of my song,
List while I woo thee with soft melody;

Gone are the cares of life's busy throng,
Beautiful dreamer, awake unto me!
Beautiful dreamer, awake unto me!


Beautiful dreamer, out on the sea
Mermaids are chaunting the wild lorelie;
Over the streamlet vapors are borne,
Waiting to fade at the bright coming morn.

Beautiful dreamer, beam on my heart,
E'en as the morn on the streamlet and sea;

Then will all clouds of sorrow depart,
Beautiful dreamer, awake unto me!
Beautiful dreamer, awake unto me!

眠れる美しき人よ、目を覚まして私のもとへ来て
星の光と夜露があなたを待っている
昼間聞こえるせわしない巷の物音も
月の光に静められ消え去ってしまった

美しき人、私が歌を捧げる女王
この優しい調べで、私の愛の言葉を聞いて

人生の悩みごとも皆消え去るのだから
眠れる美しき人よ、目を覚まして私のもとへ
眠れる美しき人よ、目を覚まして私のもとへ


眠れる美しき人よ、海に来て
人魚たちがローレライを歌っているよ
小川の上には霧が立ち込め
朝の光に消え行くときを待っている

美しき人よ、私のハートを照らして
朝の光が小川や海を照らすように

そうすれば、悲しみも雲のように消えるから
眠れる美しき人よ、目を覚まして私のもとへ
眠れる美しき人よ、目を覚まして私のもとへ

フォスターの遺作として有名な曲です。わずか37歳の若さで早世したフォスターは、晩年は家族とも別れアルコール中毒で、時代に合った曲が書けずに大変不遇であったといわれています(才能が枯渇してしまったという説もあり)が、にも関わらずこの曲の美しさはどうでしょう。フォスターの白鳥の歌、とても素敵なセレナーデです。
作曲者自身になる歌詞も、大詩人の作品のような切れ味こそありませんが、このつつましやかな曲にはぴったりの素朴この上ないものだと思います。
有名な津川主一さんの邦訳「夢路より帰りて 星の光あおげや」も素晴らしいのですが、残念ながら文語調の響きがちょっと時代を感じさせるものになってしまいました。そこでまたここでも歌える訳詞にもチャレンジしてみようと思います。
詩のイメージはそのままJポップ、私も歳のせいか最近のスタイルはよく分からないのですが、70〜80年代のテイストは少しは出せたのではないかと思います。さだまさしさんあたりに歌ってもらう感じをイメージしてみました。
「大きな古時計」が平井堅さんのカヴァーによってリバイバルしたように、フォスターの美しい歌たちも(この歌だけでなくいろいろと)もっと新鮮な訳詞で今によみがえればいいのですが...
私みたいな下手でなく、どなたか素敵な歌にしてくれませんかねえ。


  夢みる君に

 さあ起きて おいでよ
 星がきみを 待ってる
 昼間の ざわめきも
 今はみな夢の中

 聞いてよ この歌を
 君への 愛のメロディ

 生きていく 悩みも
 今はすべて消えるから
 素敵な夜を過ごそう


 さあ起きて おいでよ
 人魚姫も歌ってる
 朝を待つ夜霧も
 水の上で静かだ

 照らしてよ 笑顔で
 さびしい この心を

 この恋の 悩みも
 それですべて癒えるから
 素敵な夜を過ごそう

(2004.10.19 藤井宏行)

フォスターの作品を集中的に取り上げるにあたり、彼の出身地であるピッツバーグの大学のオンラインライブラリーを調べると、この曲が書かれたのは1862年であるということになっていました。そうしてみるとこれがフォスターの白鳥の歌というのはどうもただの伝説なのかも知れません。あるいは当時の楽譜商がたくさん売り込むために書いた作り話なのかも。真相は良く分かりませんがまあこの曲自体の価値がそれで下がるわけでもありませんので深入りはしないことにしましょう。

( 2004.10.19 藤井宏行 )


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