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Hope is the thing with feather    
 
希望は羽のある小鳥  
    

詩: ディキンソン (Emily Elizabeth Dickinson,1830-1886) アメリカ
      Hope is the thing with feather

曲: リューニング (Otto Luening,1900-1996) アメリカ   歌詞言語: 英語


”Hope” is the thing with feather -
That perches in the soul -
And sing the tune without the words -
And never stops - at all -

And sweetest - in the Gale - is heard -
And sore must be the storm -
That could abash the little Bird
That kept so many warm -

I've heard it in the chillest land -
And on the strangest Sea -
Yet, never, in Extremity,
It asked a crumb - of Me.
             #254

「希望」は羽のある小鳥-
心の中の小枝に止まり-
歌詞のない歌を歌う-
そしてその歌を止めることはない-決して-

その美しい歌声は-強い風の中-で最も美しく聞こえる
嵐は激しいはずだ-
多くの人を暖かくする歌をうたっている
こんな小鳥を困らせるほどだから-

私は極北の地でも歌声を聞いた-
そして見知らぬ海の上でも-
でも、どんなにつらい時でも
希望はけしてパンくずをねだったことはない-私に
             #254

エミリー・ディキンソンの詩で私が一番好きな作品。特に最後の一節がことのほか印象に残ります。嵐という逆境の中でこそ美しい「希望」という歌声、その誇り高くも美しい姿が見事です。この詩にもアメリカの作曲家が何人か曲をつけていますが、ここでは知る人ぞ知る人、オットー・リューニングのものを取り上げます。なぜ知る人ぞ知るかといえば、彼はアメリカで最初に電子音楽を始めた人として現代音楽史に残っている人なのです。
では彼の書く歌曲も前衛的に難解なものか?というと全然そんなことはなく、若い頃の作品が多いこともあるのでしょうがアメリカ歌曲の伝統に根ざした非常に穏当なものがほとんどで、敬虔なピュ-リタンの祈りを感じさせるようなこんな歌などなかなかの味わいです。
アメリカの現代音楽専門レーベルとも言えるCRIにこのオットー・リューニング歌曲集はあって、この曲のみならずバイロンやブレイクなどのイギリスの大詩人の美しい詩につけた曲がいろいろ楽しめます(Judith Bettina(Sop) James Goldsworthy(Pf)他 CRI CD840)。
また同じアメリカのParnassusレーベルからもこのリューニングのエミリ・ディキンソンの詩に付けた歌曲集のセレクション(4曲)が出ており、ソプラノのダニエレ・ウェルナーの歌で聴くことができます。
モーツァルトのピアノソナタを思わせるようなシンプルで美しい伴奏に乗って、これもまた200年前の曲かと思えるようなシンプルで美しい(でもコード進行は結構斬新)メロディで美しく歌われます。
どちらかというと後者の軽やかな声の方がこの詩のイメージには合っているかも知れません。

( 2004.10.16 藤井宏行 )


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