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Adieu   Op.21  
  Poëme d'un jour
さよなら  
     ある1日の詩

詩: グランムージャン (Charles Jean Grandmougin,1850-1930) フランス
      

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


Comme tout meurt vite,la rose
 Déclose,
Et les frais manteaux diaprés
 Des prés;
Les longs soupirs,les bienaimées,
 Fumées!

On voit dans ce monde léger
 Changer,
Plus vite que les flots des grèves,
 Nos rêves,
Plus vite que le givre en fleurs,
 Nos coeurs!

À vous l'on se croyait fidèle,
 Cruelle,
Mais hélas! les plus longs amours
 Sont courts!
Et je dis en quittant vos charmes,
 Sans larmes,
Presqu'au moment de mon aveu,
 Adieu!

なんとすべてのものはすばやく死にゆくのだ バラも
 花ざかりの
そしてさわやかに織りなされるマントも
 野原の
長いため息も 素敵な恋人たちも
 煙も

見えるのは この束の間の世界に
 うつろい
ひときわすばやく変わる 打ち寄せる波よりも
 私たちの夢は
ひときわすばやく変わる 霜の花よりも
 私たちの心は!

あなたに私は誠実だと思っていた
 むごい人よ
けれど ああ!どんなに長い愛も
 短いのだ!
そして私は告げよう あなたの魅力を残して
 涙なしで
私が告白したあの時のように
 さようなら!と

フォーレ初期の作品。たった1日の出会いと別れを3曲の歌曲集にまとめています。
その最後のこの曲、心変わりした恋人から離れていく悲しみと諦めを淡々と歌っていますが、まるで仏教の諸行無常みたいな諦観と、フォーレ独自の抑制された美しい旋律が印象的な忘れがたい曲になりました。

恋人との別れを歌った詩ではありますが、亡くなったフランスのバリトン、ジェラール・スゼーを偲ぶにもうってつけの雰囲気の詩と音楽でしょうか。

EMIにあるフォーレの歌曲全集でもスゼーがこの曲は歌っていますが、もっと若いときに歌ったPhilips盤(1960録音)の方が清新な魅力に満ち溢れています。ピアノ伴奏はいずれもダルトン・ボールドウィン。
彼らのフォーレはどれも素敵です。

( 2004.08.18 藤井宏行 )


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